医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > ATL、早期診断や治療薬開発に向けDBを活用した基盤研究を推進-OICIほか

ATL、早期診断や治療薬開発に向けDBを活用した基盤研究を推進-OICIほか

読了時間:約 2分
このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年08月24日 AM11:28

急性型ATL以外のATLの早期診断困難、治療成績が上がらず

(OICI)は8月22日、希少がんである成人T細胞白血病リンパ腫()のデータベースを整備して、早期診断や新たな診断指標の探索、それを活用した診断法を開発する研究を、2021年5月より企業と共同で開始していること、また、その研究成果を受け、2022年5月25日からは一部共同研究先を変更し、ATLのデータベースの質を高める新たな基盤研究を開始していることを発表した。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

ATLはHTLV-1というウイルスが原因の難治性・希少がんの一つであり、近年大阪で増加傾向となっている。ATLは「くすぶり型」「慢性型」「急性型」「リンパ腫型」の4病型に分類され、「急性型」「リンパ腫型」の5年生存率は1割台しかなく、「くすぶり型」「慢性型」でも4~5割に留まっている。4病型の中で「急性型」のATLを除いて早期の段階で診断することは難しく、治療成績を上げることができていないという課題がある。

この問題を改善するため、研究では、ATLデータベースを活用した研究を進め、早期の段階で的確に診断する方法を新たに開発する。さらには、データベースで得られた情報から治療標的を推定することにより、ATLの治療薬の開発が期待される。

2021年にATLデータベース作成および運営体制構築

2021年は、データベース作成および拡充する運営体制の構築を行った。その結果、データベースを一つのデジタル化したプラットフォーム上に整理することができ、今後の利活用の際の利便性が向上した。また、形態診断が難しいことを踏まえ、ATL細胞の形態像をデジタル化してデータベースに搭載することの意義を英文誌に報告した。

2022年度はアプリ開発、新規バイオマーカー情報の格納体制の整備を計画

2022年度は引き続き、同データベース情報の利活用をさらに推進するために、利用を検討している企業の関心も高いと考えられる、患者の普段の病態を入力できるアプリの開発、その入力データを同じクラウドで登録できる充実したシステムを構築する計画だ。その他、2021年度からの継続で新規のバイオマーカーの情報としてmiRNAやペプチドマーカー等のデータも格納できる体制を整備する。

なお、この共同研究は、セラビジョン・ジャパン株式会社、株式会社プロトセラ、株式会社アウトソーシングテクノロジー、BLUE TAG株式会社、MiRXES Japan株式会社と共同で行う。構築したATLデータベースは、事業終了から2年経過後には参画した企業以外でも活用できるように整備を進めている。

早期リスク診断法と予防法などの保健行政への提言も

「さらなる医療機関の参加と企業によるATLデータベースの利活用、共同研究を促し、ATLおよび関連疾患の早期診断や、治療技術の開発のための研究を進めていく。また、ATL治療成績向上を目指す大阪モデルとして、早期リスク診断法と予防法などの保健行政への提言を目標にしていく。そして、地域医療機関や行政と連携することでATLの啓発を高め、ATLの早期診断と早期治療を実践し、ATL根絶を目指す」と、同センターは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 前立腺がん、治療決定時SDMが患者の治療後「後悔」低減に関連-北大
  • 糖尿病管理に有効な「唾液グリコアルブミン検査法」を確立-東大病院ほか
  • 3年後の牛乳アレルギー耐性獲得率を予測するモデルを開発-成育医療センター
  • 小児急性リンパ性白血病の標準治療確立、臨床試験で最高水準の生存率-東大ほか
  • HPSの人はストレスを感じやすいが、周囲と「協調」して仕事ができると判明-阪大