この日の検討会で示された取りまとめ案では、6年制薬学部・学科の新設、収容定員増を抑制する方針を明記。速やかに制度化を進める一方、薬剤師不足など将来的な人材養成の必要性を示し、他の都道府県と比べて薬剤師確保が必要な地域は例外として取り扱うとしている。例外措置は「一定期間認める」とした。
委員からは、学部・学科の新設等を抑制する方針の制度化を明記したことを中心に、取りまとめ案を評価する意見が相次ぎ、概ね了承された。
田尻泰典委員(日本薬剤師会副会長)は「実効性がどの時期に出てくるか不明確」として、制度化の実施時期、地域偏在を考慮した例外措置の具体的期間が明記されていない点を指摘した。
文科省高等教育局医学教育課は「今年度中に制度化が実現するよう準備を進めたい。早ければ2023年度申請、25年度設置の大学から適用することを目指す」と回答。具体的には、今秋以降、文科相の諮問機関である中教審、またはパブリックコメントに関連告示の改正案を諮るとした。例外措置の適用期間についても、制度化の過程で検討した上で明示することとした。
一方、例外措置について、田尻氏は「薬学部のない県に新設しても卒業生がその県にとどまるには何らかの方策がなければ難しい」と指摘。奥田真弘委員(大阪大学病院薬剤部長)も「地方自治体と大学の連携が大事だが、自治体は薬剤師の偏在については十分な情報を持っていない。自治体における偏在状況をしっかりと把握すべきとの記載が必要」と訴えた。
柳田俊彦委員(宮崎大学医学部看護学科長)は、地域偏在の解消策として、卒業後に当該地域で必ず就職することを学生に誓約書として記入させるルールを定めることを求めた。
学生が地域にとどまるための方策として、文科省は「当該地域で従事することを学生と大学の間で取り決めた地域枠の設定が有効」との考えを示した。
山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、今後の実務実習のあり方について「臨床での実習充実に向けて検討すべき」との文言にとどめていることに対して、「中身と時間の充実が必要なので、文言を加える余地がある」と求めた。