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【日本褥瘡学会】褥瘡領域で専門薬剤師制度-24年度に初の認定試験実施

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2022年08月17日 AM10:22

日本褥瘡学会は、褥瘡・創傷専門薬剤師制度を創設した。2024年度に第1回目の試験を実施し、認定を開始する計画。チーム医療の一員として薬剤師が褥瘡領域で力を発揮することを期待して制度創設に至った。多職種が集う学会で、薬剤師の専門性が必要と認められた意義は大きい。将来は、褥瘡領域の専門医療機関連携薬局の実現につなげたい考えだ。

今年7月に公表した認定取得の要件は、▽薬剤師免許証取得後5年以上▽同学会の4年以上の会員歴▽褥瘡の予防や医療に4年以上従事▽同学会認定褥瘡薬剤師または在宅褥瘡予防・管理師の取得▽褥瘡・創傷領域の学術講習を合計100単位以上履修▽褥瘡・創傷領域の実技研修を合計40単位以上履修▽学術大会での口頭発表またはポスター発表を1報以上、または褥瘡・創傷領域の論文投稿▽年に1回実施する試験の合格――など。

実技研修として、褥瘡実技講習会の受講や認定施設での臨床研修を義務づけており、症例検討会への参加でも必要な単位の一部を取得できる。臨床研修は専門薬剤師がいる病院での実施を想定。臨床研修で必要とされる単位数は、半日の研修を計5日間か、1日の研修を計2~3日程度受けることで取得可能になる見込みだ。

来年初頭の同学会理事会で、制度を動かすための専門薬剤師を過去の業績に基づき認定する計画。その専門薬剤師がいる施設を臨床研修施設として認定し、来年夏頃から研修の受け入れを開始したい考え。当初の研修施設数は全国に5~6カ所となる見込みだが、各都道府県に1カ所以上の設置を目標に整備を進めるという。

褥瘡・創傷専門薬剤師試験は年に1回実施する。初回は24年度に実施予定。どれだけの薬剤師が受験するかは未定だが、専門薬剤師の基礎要件となる同学会認定褥瘡薬剤師は現在110人、在宅褥瘡予防・管理師の薬剤師の取得者は21人存在している。

褥瘡・創傷専門薬剤師制度の具体的な運用は、同学会学術・教育委員会の薬剤師教育作業部会が担当。メンバーには、同学会理事で薬局薬剤師の小黒佳代子氏(ファーマ・プラス専務取締役)、理事で病院薬剤師の生島繁樹氏(奈良県総合医療センター薬剤部長)、褥瘡領域の先駆者とも言える古田勝経氏(小林記念病院褥瘡ケアセンター長)ら8人の薬剤師が名を連ねている。

制度創設は、2021年9月に同学会理事に就任した小黒氏が提案。2021年11月の理事会で合意を得て施行規則や細則の検討を進め、2022年7月に公表した。

小黒氏は「専門薬剤師制度ができれば、在宅医療の患者が褥瘡になった時に、どの薬局薬剤師に依頼すれば良いかが分かりやすくなると理事会で説明し、理解を得た。将来は、褥瘡領域の専門医療機関連携薬局の実現にもつなげたい」と話す。

褥瘡の治療やケアを行うチーム医療の一員として活躍する病院や薬局の薬剤師は増えつつある。診療報酬の整備、タスクシフトやタスクシェアの推進も追い風となっている。多職種で構成される同学会も薬剤師の役割を認めており、今回の制度創設に至った。

褥瘡領域における薬剤師の業務について、小黒氏は「服薬後のフォローが薬剤師の役割として明記された。褥瘡の治療薬を正しく使えるように指導するだけでなく、効果を発揮しているのかを確認し、必要に応じて処方提案するのが役割」と語る。

専門薬剤師には「それをさらに深めることを期待したい」と言及。「難治性の褥瘡や繰り返してしまう褥瘡について、治らない原因を多職種と一緒に追求して、治癒に持っていく。研究の実施や発表でそれを共有し、今後の褥瘡治療に貢献することも役割ではないか」と話している。

 

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