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「持続グルコース測定」が有用な糖尿病患者の特徴が判明-順大

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2022年08月10日 AM10:55

どのような特徴を有する患者に「」が有用なのかは不明だった

順天堂大学は8月8日、持続グルコース測定により、血糖変動や低血糖を評価することが有用な糖尿病患者の特徴を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科代謝内分泌内科学の三田智也准教授、綿田裕孝教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

糖尿病では、血糖コントロールにより合併症の発症や進展を抑制することが重要な課題だ。日常の臨床では過去1~2か月間の血糖コントロールの状態を反映する「」が使用されており、日本を含めた各国のガイドラインでは、合併症を抑制するための血糖コントロール目標としてHbA1c7%未満を達成することが推奨されている。しかし、HbA1cには貧血の際に低値になるなど、いくつかの問題がある。また、血糖変動が大きいあるいは低血糖の頻度が高い2型糖尿病患者では死亡率が高くなることが報告されているが、HbA1c値では血糖変動や低血糖を評価することはできない。

したがって、持続グルコース測定により、それらを評価することは重要であると考えられるが、測定の費用や装着中の煩雑さなどの問題から全ての2型糖尿病患者に持続グルコース測定を行うことは現実的ではない。そこで研究グループは今回、どのような特徴を有する患者において持続グルコース測定が有用であるかを調査した。

2型糖尿病患者999人を対象に、持続グルコース測定とHbA1c測定を実施

研究では、順天堂医院などに通院中の2型糖尿病患者999人を対象に、持続グルコース測定とHbA1c測定を行った。まず、HbA1c7.0%未満、HbA1c7.0~7.9%、HbA1c8.0~8.9%、HbA1c8.9%以上で分類し、4つのグループに分けた。さらに、血糖変動や低血糖の発症に影響を与える可能性のある特徴の有無(サブグループ:年齢(65歳未満、65歳以上)、糖尿病治療薬の種類(インスリンかつ・あるいはスルホニル尿素薬で治療している、それらで治療していない)そして腎機能(推定糸球体濾過量(eGFR)60ml/min1.73m2未満、eGFR60ml/min1.73m2以上))により、8つのグループに分けた。

持続グルコース測定による評価項目は、血糖変動の指標として、目標血糖値範囲(70~180mg/dl)を満たす治療域の割合と治療域より低値である低血糖域の割合(70mg/dl未満、54mg/dl未満)、治療域より高値である高血糖域の割合(180mg/dlより大きい、250mg/dlより大きい)などとし、それぞれのサブグループの同じHbA1cのカテゴリーにおいて、持続グルコース測定により評価した項目に違いがないかを検討した。

高齢、インスリンかつ・あるいはスルホニル尿素薬で治療中、慢性腎臓病を合併した患者の一部では持続グルコース測定が重要

その結果、65歳未満と65歳以上の比較では、HbA1c7.0%未満のカテゴリーで65歳以上は夜間の低血糖域の割合が高いこと判明。「インスリンかつ・あるいはスルホニル尿素薬を使用している」と、「それらを使用していない」の比較では、HbA1c7.0%未満とHbA1c7.0~7.9%のカテゴリーは、インスリンかつ・あるいはスルホニル尿素薬を使用している場合に血糖変動が大きく、低血糖域の割合が高いことが明らかになった。HbA1c8.0~8.9%のカテゴリーでは、インスリンかつ・あるいはスルホニル尿素薬を使用している場合に低血糖域の割合が高いことが示された。

eGFRが60未満と60以上の比較では、HbA1c7.0%未満、HbA1c7.0~7.9%およびHbA1c8.0~8.9%のカテゴリーのいずれにおいても、eGFR60未満の場合に低血糖領域の割合が高いことがわかった。このことから、同程度のHbA1c値であっても患者の特徴の違いにより、血糖変動の大きさや低血糖の発症割合に違いがあることが明らかになった。

以上より、高齢、インスリンかつ・あるいはスルホニル尿素薬で治療中、慢性腎臓病を合併した2型糖尿病患者の一部では、日常の臨床で血糖コントロール指標として使用しているHbA1cでは評価できない血糖変動や低血糖を、持続グルコース測定により評価することが重要だということがわかった。つまり、持続グルコース測定により得られた血糖コントロール指標は、個々の血糖パターンに合わせた最適化治療の実現のための重要な情報といえる。

HbA1c値が同じレベルでも血糖パターンにより予後に与える影響が異なるのかを検証予定

今回の研究により、どのような特徴を持つ患者において持続グルコース測定が有用なのかが明らかにされた。

「今後は、HbA1cの値が同じレベルでも血糖パターンによって動脈硬化、、細小血管障害や予後に与える影響が異なるのかを明らかにしたいと考えている。さらに、それらの指標を改善させることが、動脈硬化や心血管イベントの抑制につながるかを検証する予定だ」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

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