三菱ケミカルグループは、3日にウェブ上で開いた2023年3月期第1四半期決算説明会で、カナダで進めていた新型コロナウイルス感染症ワクチン「コビフェンツ」の商用生産への移行に課題があり、計画通りにカナダ政府へ提供できていないと発表した。
今年2月にカナダで承認を取得。カナダ政府と締結した供給契約に基づき、今年内に2000万本を供給する計画だったが、安定生産に課題が見つかり供給できていない。
現在、ワクチンの開発や生産を担う田辺三菱製薬連結子会社のメディカゴが原因と対策を検討しているものの、現時点で解決の見通しは立っていないという。
こうした事態を踏まえ、メディカゴは事業計画の見直しを進めている。今後、三菱ケミカルは事業計画の変更を検討し、カナダ政府などと協議を行う計画だ。
日本での承認申請時期も再検討する。日本では国内の治験データとカナダでの申請に用いたデータを合わせて今年9月までに承認を申請し、23年3月期中の実用化を目指していたが、計画の修正を迫られることになった。
世界初の植物由来のウイルス様粒子ワクチンとして注目を集めた「コビフェンツ」。規模を拡大する商用生産の段階で壁に突き当たった。