中央社会保険医療協議会は3日の総会で、2023年4月にオンライン資格確認等システムの導入が原則義務化となるのを受け、オン資を通じて患者情報等を活用した場合に診療報酬で評価される「電子的保健医療情報活用加算」の取り扱いについて議論した。診療側は「患者情報を活用することで医療の質向上につながる」とし、引き続き診療報酬で評価することを要望。一方、支払側は「患者側にメリットがなければ加算は負担増につながる。負担をするに当たって患者がメリットを理解できる説明が必要」と加算の必要性を改めて検討するよう求めた。
オン資は「骨太の方針2022」で2023年4月に導入を原則義務づけることとなっている。4月の診療報酬改定では、薬局でオン資を通じて患者の薬剤情報または特定健診情報等を取得し、その情報を活用して調剤等を実施した場合に、調剤管理料電子的保健医療情報活用加算として3点を算定できるようになった。
オン資導入が原則義務化となった場合に同加算の取り扱いについて、有澤賢二委員(日本薬剤師会理事)は、「オン資の活用は医療の質向上や薬局・患者によって有意義なものになる。加算の取り扱いについては患者や現場に理解が得られるよう見直していくべき」と述べた。
また、長島公之委員(日本医師会常任理事)は、医科の電子的保健医療情報活用加算について、「診療報酬の基本的な考え方で医療の質を向上させる取り組みについては対価が支払われるということがある。この点数を廃止するということは診療報酬の基本的な考え方に照らし合わせればあり得ない」と主張した。
加算継続を主張する診療側に対し、佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は、「患者の立場から見たメリットとして、質の高い医療を担保しつつ、何らかの負担軽減策が必要。加算で自己負担が発生することに理解が得られるようメリットの説明に主軸を置き、今まで以上にしっかりと取り組むべき」と語った。
松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「資格確認に必要なカードリーダーの申し込み数を見る限り、岩盤のように申し込みたくないという医療機関がある。多数のメリットがあると言っているのになぜ申し込みにつながっていないのか」と疑問視した。