新型コロナ流行前とコロナ禍、発熱性好中球減少症頻度を検証
金沢大学は8月1日、コロナ禍で抗がん剤治療による副作用の発熱性好中球減少症の発症頻度が低下していたことを発見したと発表した。この研究は、同大医薬保健研究域医学系の溝上敦教授(泌尿器科長)、同大附属病院泌尿器科の八重樫洋助教、鳥海蓮医員らの研究グループによるもの。研究成果は、「Cancer Science誌」オンライン版に掲載されている。
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抗がん剤治療を遂行する上で極めて重要なことは、いかに抗がん剤の副作用を軽減させるかだ。副作用が強くなると、安全に化学療法を遂行することが難しくなるなど、生命予後を悪化させる恐れもある。発熱性好中球減少症は、注意が必要な副作用の一つ。現状では、さまざまな抗がん剤治療によって5~15%程度の患者で発熱性好中球減少症が発症しているとされている。
一方、研究グループは、コロナ禍で抗がん剤を使用している泌尿器科入院患者では発熱性好中球減少症の発症頻度が低下しているということに気付いたという。そこで今回の研究では、新型コロナウイルス感染症が流行する以前と、コロナ禍の発熱性好中球減少症の頻度について検証を行った。
コロナ禍では発熱性好中球減少症の頻度が15分の1まで減少
その結果、新型コロナウイルス感染症が流行する以前とコロナ禍の抗がん剤治療内容や患者背景には大きな違いがないにも関わらず、コロナ禍では発熱性好中球減少症の頻度が15分の1まで減少していることが明らかとなった。
コロナ禍では以前よりも患者や医療従事者の清潔管理、面会制限が徹底された結果、外部から患者への細菌やウイルスの持ち込みがなくなり、これまで抗がん剤治療により引き起こされていた好中球減少期間中の感染も減少していたからではないかと推測される。同研究成果により、徹底した清潔管理は、抗がん剤治療を行っていく上で発熱性好中球減少症の改善に活用されることが期待される、と研究グループは述べている。
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