厚生労働省は7月29日付の事務連絡で、新型コロナウイルスの感染拡大による需要急増を踏まえ、解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェン製剤の買い込みを控えるよう医療機関、薬局、医薬品卸売販売業者に求めた。代替薬として、イブプロフェンやロキソプロフェンの使用も考慮するよう求めている。
解熱と鎮痛を効能・効果とするアセトアミノフェンは0歳から使用可能で、他の解熱鎮痛剤の使用が急性脳症に発症に関連するため、小児向けの解熱鎮痛剤に配合されている成分の多くを同成分が占めている。
ただ、新型コロナウイルス感染拡大の第7波が到来し、医療機関において、同成分を含有する解熱鎮痛剤の需要が急増。
アセトアミノフェン製剤である「カロナール」を製造販売するあゆみ製薬では、安定供給への懸念から、錠剤等の限定出荷の対応を取り、シロップに関しては出荷停止に踏み切った。
日本小児科学会は、多くの乳幼児を含む小児がコロナに感染し、診療にアセトアミノフェン製剤の必要度は高く、安定供給に問題が生じると小児医療に多大な影響を与えるとして、厚労省に小児用のアセトアミノフェン製剤の安定供給を確保するよう求めていた。
そのため、今回の事務連絡では、アセトアミノフェン製剤の返品が生じないよう買い込みは控え、当面の必要量に見合った量だけを購入するよう求めた。
一方、代替薬となる解熱鎮痛剤として、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどの使用も考慮することとし、アセトアミノフェンと同様、買い込みを控えるよう求めた。
同日の閣議後会見で、後藤茂之厚労相は「アセトアミノフェン製剤の医療機関における需要が急増し、製薬企業からの供給が厳しく、一部不足が生じているのは承知している。今後も感染状況や薬剤の供給状況を注視しつつ、適切な対応を取りたい」と述べた。