厚労省は、医薬品医療機器等法施行規則に基づき、濫用の恐れのある医薬品として、▽コデイン(鎮咳去痰薬に限る)▽メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内容液剤に限る)▽エフェドリン▽ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る)▽ブロムワレリル尿素▽プソイドエフェドリン――の6成分を含有するOTC医薬品を指定している。これらOTC薬については、購入者が若年である場合の氏名・年齢確認、他店舗での購入状況、購入理由等の確認が行われている。
厚生労働科学特別研究事業「一般用医薬品の適正使用の一層の推進に向けた依存性の実態把握と適切な販売のための研究」の調査結果では、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンを含有する鎮咳去痰薬だけでなく、同成分を含有する総合感冒薬の依存症例も報告された。
また、日本中毒情報センターは、2017~21年に寄せられた相談内容のうち、OTC薬を意図的に過量摂取した事例の集計・分析結果を公表した。薬効分類ごとに整理した結果、鎮咳去痰薬は176件で全体の15%を占め、メチルエフェドリン含有製剤については、内容液剤以外の剤形の鎮咳去痰薬、総合感冒薬が含まれていた。
これらを踏まえ、厚労省は、鎮咳去痰薬に限定して濫用等の恐れのある医薬品に指定しているコデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンについて、鎮咳去痰薬の限定を外す対応案を示した。メチルエフェドリンに関しては、内容液剤の限定を外すことも妥当とした。
対応案について、舟越亮寛委員(亀田総合病院薬剤管理部長)は「少しずつ制限するのではなく、いったん幅広く制限し、いたちごっこにならないようにすべき」と肯定的に捉えたほか、石井伊都子委員(千葉大学病院薬剤部長)も「規制をかけるなら一気にかけた方が良い。抜け穴を作り、依存が始まると止められない」と述べ、対応案の内容で了承することを全会一致で決めた。