日本医薬品卸売業連合会は7月28日、新たな医薬品卸の産業形成、DX化に関する検討を進めるために6月に新設した「医薬流通産業形成・DX推進委員会」の委員長にアトル社長の渡辺紳二郎氏を充てたと発表した。担当副会長はバイタルネット社長の一條武氏、担当理事にはほくやく社長の眞鍋雅信氏が就き、計8人のメンバーで検討を進めることになった。
同日の理事会後に記者会見した眞鍋氏は、新型コロナウイルスの感染拡大により「医療機関におけるDXが一気に進んだ。一方でシステムの連携やわれわれとして対応できるのか、DX化にキャッチアップしていかなければならない」との課題認識を示した。
さらに、「20年後、30年後を見据えた薬価制度の中の医薬品流通産業を検討していかなければならない」との考えを示した。
■山田専務理事、不採算流通に問題意識
また、山田耕蔵専務理事は、同日の理事会後記者会見で、過疎地や低薬価品などの不採算流通に薬卸連として問題意識を持っていることを明らかにした。
山田氏は、「流通コストが明確でない中で流通を回しているが、薬価が下がりっぱなしで限界が来ており、焦点を当てて議論しなければならない」とし、過疎地などの地理的課題と品目・カテゴリー上の課題の2点が「切り口になると思う」と指摘。薬価差の偏在も課題との認識を示した。
厚生労働省が新設する流通・薬価制度に関する有識者会議に対する意見表明について「状況を見ながら、必要があれば提出するが、何も決まっていない」と述べた。
厚労省の流通改善懇談会(流改懇)で医師側から問題視する意見が上がった「1社流通」については、「連合会として結論は出ていない。いろんな意見がある。合理的な理由がないものをどう考えていくのかだと思う」との見方を示した。
流改懇委員の眞鍋理事は、厚労省が実態把握することになっているとし、「その上で様々な反応があるのだろうと思う」との認識を示した。