医薬品医療機器等法の改正で医薬品や医療機器等へのGS1バーコード表示が12月に義務化となる。GS1コードには商品コードや有効期限、ロット番号、添付文書などの注意事項等が付され、符号を読み取ると情報製品追跡(トレーサビリティ)システムの構築が可能となり、物流や医療現場での在庫管理、取り違え防止に活用することが期待されている。
ただ、国内ではPTP調剤や一包化調剤を基本としているものの、医薬品へのバーコード表示の義務化は販売包装単位に限られ、PTPシート等の調剤包装単位への記載表示は、任意の範囲で求められているのが現状だ。
既にバーコード表示率は100%に達しているものの、医療機関でPTP調剤や一包化調剤に活用されず、取り違え防止などの医療安全対策が充実しないことが想定されるため、今年度から研究班を立ち上げて医療機関におけるバーコードの活用実態を把握するための調査を始めることになった。
亀田医療大学の舟越亮寛氏を研究代表者とし、医療機関でのGS1コード活用のあり方や製品面で検討すべき点を整理する。日病薬と日薬にアンケート調査を実施し、活用実態などを聞き取りを行う。
調剤包装単位へのバーコード付記が患者の視認性に及ぼす影響度調査も実施する。
また、医療機関の電子診療情報側で用いられる医薬品コードがHOTコード、YJコードなど使用方法が任意で標準化されていないことから、GS1コードが調剤機器や電子診療情報側と連結されない場合、実際の服薬状況や服薬した医薬品、製造番号・有効期限の把握が難しいとの課題も指摘されている。
そこで、日病薬学術小委員会に協力を依頼し、各医療機関が部門システムとしてどのようなシステム・ベンダーを使用しているか実態調査を行う。
製薬企業側には、日薬連を通じて調剤包装単位へのバーコード記載表示を行う場合に製造工程で発生する業務負荷やコスト負担など、企業が抱えている課題をヒアリングを通じて把握する。
一方、GS1コード事業者団体「GS1ジャパン」には諸外国の規制情報を情報収集してもらい、調剤包装単位までバーコード表示を求めるのか、販売包装単位までにとどめるべきか政策提言の基礎情報として役立てる。
厚労省は、医療機関で医療安全対策にGS1コードの利活用を図る上での課題を整理し、企業負担とのバランスを考慮してバーコード表示の範囲を検討していきたい考えだ。