この日の小委員会で文科省は取りまとめ案を示した。親会議の検討会で報告書として取りまとめられた場合、関係告示を改正して今年度中をメドに制度化する。その上で、23年度以降に申請、25年度に開設する学部・学科から適用を開始することにした。
取りまとめでは、今後の薬学部教育の改善・充実の方向性として、入学定員に関する取り組みを記載。6年制薬学部・学科の新設、定員増は抑制方針を適用し、制度化を進めるほか、薬剤師の偏在問題を考慮し、薬剤師不足など将来的に人材養成が必要な地域は同制度の例外とした。
ただ、過度に定員増加しないよう増加する定員規模は十分に検討するほか、例外措置は一定期間に限定。将来的な取り扱いは、地域の薬剤師需要に照らして検討すべきとした。
定員を満たさない私立大学への私学助成については、減額率の引き上げや不交付の厳格化など、より踏み込んだ措置を求めた。
今後の実務実習に関しても、モデル・コアカリキュラムの見直しの検討と共に、臨床実習の充実を図るべきとした。
4年次まで進級していながら学力を理由にその後の年次の留年割合が高く、標準修業年限内での卒業率が低い大学については、カリキュラムポリシーに基づいた適切な単位認定や進級判定を行うと共に、必要に応じてカリキュラムの改善・充実を図るよう求めた。
薬学教育の質改善・充実には、評価機構等の関係団体、薬剤師会・病院薬剤師会の取り組み充実、文科省と厚生労働省の連携施策も必要と明記。4年制課程の充実に向けた方策も検討すべきとした。
後藤正直委員(京都薬科大学前学長)は、抑制方針の例外として地域枠を設けることについて、「地域で薬剤師が必要だからと認可しても、国公立大しか持たない」と述べ、実効性を疑問視した。
平田收正委員(和歌山県立医科大学薬学部教授)も、「地方の国公立大は定員充足率、競争倍率が上昇傾向にあるが、私立大の定員増で地域の薬剤師を増やすのは難しい。もう少し詳細に議論すべき」と訴えた。
入江徹美委員(熊本大学特任教授)は医学部を引き合いに、「地域枠の学生がどこで仕事しているかフォローできなくなっており、活性化になかなかつながらない」と指摘し、定期的な追跡調査の実施も含めて、地域枠に効果があるかどうかを明示すべきとした。