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心臓サルコイドーシス、日本独自の診断基準「臨床診断群」の重要性を報告-国循

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2022年07月22日 AM10:19

欧米の診断基準による組織診断群と、日本の診断基準のみによる臨床診断群の予後を比較検討

国立循環器病研究センターは7月21日、心臓サルコイドーシス患者のうち、日本独自の診断基準である臨床診断群の患者を、組織学的に診断された心臓サルコイドーシス患者と比較し、死亡、心不全入院、不整脈イベントが同等に不良であることを報告し、臨床診断群を診断することの重要性を報告したと発表した。この研究は、同研究センターの心臓血管内科の北井豪医師、泉知里医師らの研究グループによるもの。研究成果は、「Heart誌」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

サルコイドーシスは、全身の臓器に原因不明の炎症を起こす難治性疾患で、炎症を起こしている組織に肉芽腫が見られるのが特徴だ。欧米の診療ガイドラインでは、サルコイドーシスと診断するためには、心臓もしくは他臓器から上記の特徴的な肉芽種などの組織学的な所見を確認することが必須とされている。しかし、組織学的な診断がついていなくても、各種画像診断や臨床所見からサルコイドーシスが強く疑われる症例は、実臨床では多く経験する。日本のガイドラインでは、このような組織診断では診断できない患者においても、画像所見や臨床所見で一定のクライテリア(基準)を満たせばサルコイドーシスと診断できる臨床診断群、というカテゴリーを世界で初めて設定している。しかし、この臨床診断群が従来の組織診断群と比較してどのような予後であるかに関しては、十分な検討がされていなかった。

そこで、今回の研究では、希少疾患である心臓サルコイドーシスを十分な症例数で検討するため、全国33施設が協力したレジストリー研究(Illuminate-CS)のデータを用いて、欧米のガイドラインでの診断基準で診断される組織診断群(biopsy-proven CS)と、本邦の基準でのみ診断される臨床診断群(clinical CS)の予後を比較検討した。

臨床診断群、組織診断群と同等に有害事象発生

Illuminate-CSレジストリに登録された512例(平均年齢62歳、女性:64.3%)の患者のうち、欧米のガイドラインで診断される組織診断群は314例(61.3%)であり、日本のガイドラインでのみ診断される臨床診断群は198例(38.7%)だった。両群の患者背景を比較すると、臨床診断群は組織診断群に比較して、心機能低下や左心室の構造的変化が多く見られ、PETやガリウムシンチグラフィーなどの画像検査での異常所見の頻度も多く見られた。

研究期間(追跡期間の中央値は43.7か月)中に両群で観察された有害事象(死亡、重症不整脈、心不全入院)を比較すると、臨床診断群も組織診断群と同等に有害事象が発生していることが確認された(臨床診断群 vs 組織診断群、調整ハザード比:1.24、95%信頼区間:0.88-1.75, p=0.22)。また、心臓のみに所見を認める心臓限局性サルコイドーシスに限った解析でも、同様に、臨床診断群は組織診断群と同等に有害事象が発生していることが確認された(心臓限局性臨床診断群 vs 心臓限局性組織診断群、調整ハザード比:1.23、95%信頼区間:0.56-2.70, p=0.61)。

欧米GLでも臨床診断群の追記に期待

今回の研究において、欧米の診断基準では心臓サルコイドーシスと診断されない患者が相当数いることが確認され、またその臨床診断群も組織診断群と同等に予後不良であることが報告された。日本のガイドラインで推奨されている、臨床診断群のカテゴリーの重要性が示されたと考えており、この結果を元に欧米のガイドラインでも臨床診断群が追記されることが期待される。

一方、同研究では、臨床診断群の患者が組織診断群と同等の予後であることを示したが、サルコイドーシスであるということの証明はできていない。特に、心臓限局性の臨床診断群では、サルコイドーシスと同様に心臓に炎症性変化をきたす慢性心筋炎や炎症性拡張型心筋症など他の疾患との鑑別が議論される。現在の画像診断ではこの鑑別をすることは困難だが、今後の重要な研究テーマと考えている、と研究グループは述べている。

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