医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 骨格筋のビタミンC不足、性別関係なく筋萎縮や身体能力低下をもたらす-都長寿研ほか

骨格筋のビタミンC不足、性別関係なく筋萎縮や身体能力低下をもたらす-都長寿研ほか

読了時間:約 1分57秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年07月15日 AM10:27

ビタミンC合成不全・雄マウス、ビタミンC投与群/非投与群で骨格筋の筋重量を測定

東京都健康長寿医療センターは7月14日、骨格筋でのビタミンC不足は、性別に関係なく筋萎縮や身体能力の低下をもたらすことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大東京都健康長寿医療センターの石神昭人研究部長、滝野有花研究員、滝沢晶子連携大学院生らは、韓国釜山大学のJaewon Lee教授、順天堂大学の町田修一教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Biology」電子版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

標準的な男性や女性の骨格筋量は、体重の約30~40%を占める。また、骨格筋にはビタミンCが存在する。研究グループは先行研究で、ヒトと同様に体内でビタミンCを作れない雌のビタミンC合成不全マウスを用いて、血漿や骨格筋のビタミンCが減少すると筋肉にどのような影響があるかを調べた。そして、ビタミンC不足期間が長くなるにつれて、筋肉を構成する筋線維が細くなり、筋重量が減少して、再びビタミンCを与えると回復することを明らかにしている。しかし、この現象は雌だけに認められるのか、雄でも同様にビタミンCが減少すると骨格筋の筋線維が細くなり、筋重量が減少するのかはわかっておらず、同研究ではこれらの点を明らかにした。

今回の研究では、雄のビタミンC合成不全マウスをビタミンC投与群と非投与群の2群に分け、4、8、12、16週間後に腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋、長趾伸筋などの骨格筋の筋重量を測定した。腓腹筋のビタミンC量は、高速液体クロマトグラフィーと電気化学検出器を用いて測定。自発活動量は、XY赤外線ビームにより1日の移動距離を測定した。筋力は、ワイアハング試験により、落下までのぶら下がり時間を測定した。全身持久力は、トレッドミルにより疲労困憊までの走行距離を測定した。

雄も雌と同様の結果、筋重量減や身体能力低下は雌の方が早期に確認

その結果、ビタミンC非投与群では、4週間で骨格筋のビタミンC濃度が著しく低下。また、非投与群の腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、前脛骨筋、長趾伸筋の筋重量は、12週目からビタミンC投与群に比べて有意に低値を示した。非投与群の全身持久力は、8週より、また自発的活動量は、12週より、ビタミンC投与群に比べて有意に低値を示した。これら、筋重量の低下や全身持久力、自発活動量の低下は、ビタミンCを再投与することにより回復した。このように、ビタミンCは骨格筋の機能維持に不可欠であることがわかった。

また、これらの現象は、以前に報告した雌での結果と同様だった。しかし、筋重量の減少や身体能力の低下は、雌の方が雄に比べて早期に認められたという。

ビタミンC再投与で、性別に関係なく回復

同研究により、ビタミンC不足は、雌雄など性別に関係なく骨格筋の萎縮や身体能力の低下をもたらすことが明らかとなった。また、ビタミンCの再投与により、性別に関係なく回復できることも明らかになった。

この研究成果は、筋肉でのビタミンCの機能解明に大きく貢献するものと期待される、と研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 血液中アンフィレグリンが心房細動の機能的バイオマーカーとなる可能性-神戸大ほか
  • 腎臓の過剰ろ過、加齢を考慮して判断する新たな数式を定義-大阪公立大
  • 超希少難治性疾患のHGPS、核膜修復の遅延をロナファルニブが改善-科学大ほか
  • 運動後の起立性低血圧、水分摂取で軽減の可能性-杏林大
  • ALS、オリゴデンドロサイト異常がマウスの運動障害を惹起-名大