調査は、昨年度予算事業の「薬剤師確保のための調査・検討事業」によるもの。13日の厚労省検討会で公表した。医師・歯科医師・薬剤師統計の個票データ(薬剤師分)を活用し、都道府県や都道府県薬剤師会・病院薬剤師会、3183病院、3200薬局などにアンケート調査を行った。
薬剤師の地域偏在について、病院で「都道府県内の多くの地域で薬剤師不足が生じている」「一部の地域で生じている」と回答したのは、都道府県が約49%、都道府県薬剤師会が約33%となった一方、都道府県病院薬剤師会は「多くの地域で生じている」が70%、「一部の地域で生じている」が23%と合計で93%に達していた。
これに対し、薬局での薬剤師不足については、都道府県が5割、薬剤師会が8割となったが、病院薬剤師会は2割に満たず、半数以上は「ほとんど生じていない」と回答。都道府県と都道府県薬剤師会、病院薬剤師会の間で薬剤師不足の把握状況や認識に大きな乖離があった。
薬剤師の充足感について「不足している」と回答した割合は病院が65%、薬局が41%となり、二次医療圏の人口規模に関わらず、病院が薬局よりも「全く足りない」の回答割合が高く、両者で約3倍以上の差が見られた。
国公立病院は約8割、公立病院は約7割、公的病院は約9割が薬剤師不足を認識する一方、医療法人は約5割の回答にとどまり、差が見られた。高度急性期・急性期機能の病院は、回復期・慢性期機能の病院と比べて薬剤師不足を認識する病院の割合が高かった。
薬剤師不足を認識している病院の53%で薬剤師の時間外勤務が増えていた。薬剤師不足により生じている弊害について、72%が病棟業務、52%がチーム医療への参画に支障があると回答した。
一方、薬剤師不足を認識している薬局では52%で薬剤師の時間外勤務が増え、薬剤師不足により54%が在宅対応、36%が地域での多職種連携に支障があるとした。