日本製薬工業協会医薬品評価委員会は7日、メディカルサイエンスリエゾン(MSL)が社内関連部門、社会医科学専門家から信頼されるパートナーになるため、MSLの目指すべき方向性を示した。2019年に製薬協がまとめた「MSLの活動に関する基本的な考え方」に基づき、MSLの任命要件や研修制度、手順書、業務評価指標などがどうあるべきか具体的に示した。
MSLの任命要件について、基本的考え方では「医療分野での資格や教育機関における医学・薬学などの自然科学分野での学位を取得していることが望ましい」とされているが、19年度調査ではMSLの資格要件を設定していない会社が半数を超えていた。
これらの会社には、高度な専門知識、科学的中立的思考、高い倫理観を持つMSLが活動できるよう「MSLの基本的考え方」を参考に資格要件を設定することが強く望まれるとした。
資格要件を設定した会社でも、理系修士以上を要件として設定する会社も存在したため、医療系資格(医師、歯科医師、薬剤師、看護師など)の保有や生命科学系の博士号の保有なども考慮することを推奨した。
基本的な考え方では、要件を「少なくとも学士を取得すること」としていたが、社外医学専門家と交流を行う上で研究業績を挙げた経験を持つ科学者として、博士がより望ましいとした。
また、MSLに関する手順書は19年調査で回答企業の3割が未整備であり、整備するよう求めている。具体的には、▽MSLの活動目的▽MSLの役割▽MSLの行動規範▽営業部門からの独立▽MSL業務▽社外医科学専門家の選定基準――を定めることとした。
業務評価指標については、自社医薬品の販売実績など営業部門に関連する指標は含めず、MSLの活動目標に対する他制度やMSL業務のプロセス遂行度を指標とすべきとし、業務の質と量の両面から評価するよう要請。
具体的な指標例として、▽アンメットメディカルニーズやインサイト▽メディカルプラン策定・遂行への貢献度▽社外医科学専門家による評価▽社内関連部門からの評価▽コンプライアンスの遵守状況――を挙げている。