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世界初・皮下のループ状毛細血管を可視化、開発した高性能光音響顕微鏡で-東北大ほか

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2022年07月06日 AM10:22

解像度に限界、皮下のループ状毛細血管構造まで観察は困難だった

東北大学は7月4日、MEMSスキャンを用いた光音響顕微鏡を開発し、そのスキャンをさらに高精度制御することで高画質画像を得ることに成功したと発表した。この研究は、同大大学院医工学研究科の新楯諒大学院生(研究当時、現:富士フイルム)、西條芳文教授らと、韓国浦項大学のChulhong Kim教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」電子版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

ヒトの体では、体中に張り巡らされた血管網によって、体の隅々に渡って栄養や酸素を行き渡らせている。心臓から送り出された血液は、動脈を通り、末梢の網目状の毛細血管を通り過ぎた後、静脈に合流し、再び心臓に戻る。毛細血管は皮膚近くではループ状の構造を取り、血流に障害が起こるとループ状構造が乱れたり消失したりすることから、病気の診断に利用されている。ループ状毛細血管は、肉眼では半透明の爪床でのみ観察ができるが、普通の皮膚は不透明なため、皮下の毛細血管について明瞭に観察することはできない。近年、近赤外線を利用した光干渉断層計によって、皮下の血管網の構造を詳細に観察することができるようになったが、解像度に限界があり、ループ状構造まで観察することは困難だった。

光音響イメージング法は、光音響波(生体組織にレーザ光を照射した際に発生する超音波)を使用して生体組織を観察する方法で、主に皮膚や乳腺などの体表組織の血管の観察に利用されている。光音響イメージング法は、解像度が非常に高く、条件によっては一つ一つの赤血球まで観察することができる。

レーザ照射スキャン速度向上・高精度制御で、不透明なループ状毛細血管の観察に成功

今回、研究グループは、新しい光音響顕微鏡を開発し、不透明な皮下のループ状毛細血管を観察することに世界で初めて成功した。この新しい光音響顕微鏡は、微細加工技術を利用したMEMSミラーを利用して、レーザ照射のスキャン速度を向上させた。さらに、スキャンを高精度制御することで高画質画像を得ることに成功したとしている。

がん組織の血管構造などへの応用にも期待

今回の研究は、新規診断機器の開発につながる光音響顕微鏡の性能向上についての重要な報告だという。同研究成果は、毛細血管による皮膚の評価に直ちに応用可能で、さらに開発中の内視鏡との組み合わせによりがん組織の血管構造などにも応用可能な技術だ、と研究グループは述べている。

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