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日本人の新型コロナ最重症例、「I型IFN中和抗体」保有率が高いと判明-広島大ほか

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2022年06月30日 AM11:18

海外同様、日本人の新型コロナ最重症例もI型IFNに対する中和抗体保有率が高いのか?

東京医科歯科大学は6月29日、日本におけるCOVID-19患者(622例)の検体を収集し、I型IFNに対する中和抗体の保有状況を調査した結果を発表した。この研究は、広島大学大学院医系科学研究科小児科学の岡田賢教授、溝口洋子同助教、津村弥来同研究員、江藤昌平同大学院生、同大大学院医系科学研究科疫学・疾病制御学の田中純子教授らの研究グループ、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科発生発達病態学分野の森尾友宏教授、貫井陽子氏(元同感染制御部准教授)らの研究グループ、大阪市立大学大学院医学研究科寄生虫学の城戸康年准教授、中釜悠同特任講師らの研究グループ、かずさDNA研究所の小原收副所長らの研究グループ、米国ロックフェラー大学のJean-Laurent Casanova氏、フランスイマジン研究所のPaul Bastard氏らの研究グループが、他の研究グループと共同で行ったもの。研究成果は、「Journal of Clinical Immunology」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

COVID-19の多くは軽症もしくは無症状で経過するが、一部の患者は重篤な経過をとることから、重症化リスクを持つ患者を適切に選択し、早期に治療介入を行うことが大切だ。そのような状況下で研究グループは、国際共同研究グループ(COVID HUMAN GENETIC EFFORT:CHGE)に参加し、COVID-19重症化の病態解明に向けた研究に取り組んできた。

これまでの研究でCHGEは、COVID-19に対する感染免疫にI型IFNが重要な働きを果たすことを明らかにしている。具体的には、38か国よりCOVID-19患者5,857例および健常者3万4,159例の検体を収集し、I型IFNに対する中和抗体を測定。その結果、COVID-19最重症例のうち13.6%(そのうち80歳以上では21%)、死亡例のうち18%が、I型IFNに対する中和抗体を保有することが判明している。研究グループは、同知見がCOVID-19の重症化リスクを知る上で重要であり、社会的にもインパクトがある知見だと考えた。しかし、収集されたCOVID-19症例は全て海外の症例であることから、日本での実態調査が必要と判断し、今回の研究を実施した。

最重症例のうち10.6%がI型IFNに対する中和抗体を保有、全て50歳以上で9割以上男性

研究グループは、日本におけるCOVID-19患者622例の検体を収集し、I型IFNに対する中和抗体を測定した。その結果、COVID-19最重症例のうち10.6%が、I型IFNに対する中和抗体を保有することが判明した。これらの中和抗体を保有している人は全て50歳以上で、男性が92.3%だった。一方、中等症以下の罹患者での中和抗体保有率は1%以下だった。これらの傾向は、海外からの報告と一致するという。これまでの疫学的な研究で、高齢、男性で重症となるリスクが高いとされているが、同研究結果は、これらの所見を説明する一つの要因となると考えられる。

I型IFN中和抗体の迅速な測定が実現すれば、発症早期に重症化リスクを予測可能に

今回の検討により、日本においてもCOVID-19最重症例、男性、高齢者でI型IFNに対する中和抗体の保有頻度が高いことが確認された。将来的に、COVID-19感染者に対する同中和抗体の迅速な測定が実現すれば、発症早期に重症化リスクを予測し、それに応じて治療法を選択することが可能になると期待される。

「今回は主にデルタ株以前の成人例を中心に調査した。オミクロン株の重症例や小児の重症患者、ブレークスルー感染の重症例など、重症化リスクが高くないと思われる人で重症化をきたした場合に、I型IFNに対する中和抗体はどうなのか検討する必要がある。現在、COVID-19症例の検体を収集し続けている」と、研究グループは述べている。

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