この日の委員会では、医薬品医療機器総合機構(PMDA)がMID-NETを用いた医薬品の安全性評価の事例などを公表し、新型コロナウイルス感染症治療薬の処方実態とリスク・ベネフィットに関する調査などを列挙。また、規模拡大に向け、協力医療機関として徳洲会グループから10病院を追加し、既存の10拠点23病院と合わせ計700万人超分を2024年度から利用できるよう検討する考えを示したほか、国立病院機構のデータベースとの連携にも言及した。
ただ、佐藤嗣道委員(東京理科大学薬学部准教授)は「極めて不十分なDBと言わざるを得ない。既にMID-NETの2倍、3倍の規模を誇るものがあり、民間の商業DBを使う方が良いとの話も聞く」と指摘。
その上で、「保険診療である限りはどの医療機関に行っても網羅されるので、NDBの方が意味のある調査が可能」として、MID-NETとNDBを連結する必要性に言及した。PMDAは「法的、技術的課題があるので、関係者と相談しながら対応を検討したい」と応じた。
泉祐子委員(全国薬害被害者団体連絡協議会世話人)も「情報内容が非常に少なく、アカデミアも製薬企業も利活用しにくい。NDBとリンクする形でなければ、本当のデータ利活用ができないのではないか」と疑問を呈した。
森豊隆志委員(東京大学病院臨床研究推進センター長)は、「真のリアルワールドデータになるには規模の拡大が必要だ。大きな障害となっている点について何らかの制度改革で進められないか」と求めた。
一方、同委員会は、今年度に実施予定の海外調査の対象として、欧米における特例承認制度や条件付き早期承認制度等に相当する制度の状況を追加する案を了承した。
調査では、欧米の薬事制度と個別医薬品の承認状況等をインターネット上の情報から収集するとしているが、新たにこれら制度の有無、制度が存在する場合は概要や承認直後の安全性情報の収集内容を調べる。