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認知機能低下、脊椎矢状面バランス評価によりスクリーニングできる可能性-信州大

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2022年06月22日 AM10:47

住民運動器検診による疫学研究「おぶせスタディ」で検討

信州大学は6月17日、50歳~89歳の一般住民を対象とした検診で、放射線学的アプローチに基づく脊椎矢状面バランス評価により認知機能低下のスクリーニングが可能であることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大附属病院リハビリテーション部の西村輝作業療法士、池上章太講師、医学部運動機能学教室の髙橋淳教授らによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

軽度認知障害は健康な状態と認知症の間の状態であり、高齢者の1~2割が発症していると推定されている。この状態は元の状態に回復することもあるため、軽度認知障害であるかどうかを確認することは将来の認知症予防にとって重要だ。

同大医学部運動機能学教室と附属病院リハビリテーション部は2014年より長野県小布施町、新生病院と共同して住民運動器検診による疫学研究「おぶせスタディ」を実施している。おぶせスタディ脊椎グループはこれまでに、高齢者では運動機能低下が認知機能低下とともに起こってくること、運動機能低下が姿勢の変化として表在化してくることを明らかにしてきた。今回、高齢者特有の姿勢変化をとらえることで認知機能低下をスクリーニングできるのではという仮説を立て、研究を進めた。

男性は50歳以上/SVA10cm以上、女性は50歳以上/SVA7cm以上で認知機能低下が起こっている可能性

脊椎矢状面バランスの代表的な指標として、Sagittal vertical axis(SVA)がある。SVAは単純X線写真側面像にて第7頚椎の重心線が仙骨椎体後上縁からどれだけ前方に位置するかの水平距離だ。姿勢のバランスが取れている場合、第7頚椎は仙骨の直上付近に位置するためSVAは0cm付近となるが、加齢とともに背中が丸くなってくると徐々に頭部が前方に移動しSVAは5cm、10cmと大きくなっていく。

研究グループは、男性50歳以上かつSVA10cm以上、70歳以上かつSVA9cm以上、80歳以上かつSVA7cm以上の場合、認知機能低下が起こっている可能性が高いことを突き止めた。また、女性では50歳以上では年齢にかかわらずSVA7cm以上の場合やはり認知機能低下が起こっている可能性が高いことがわかった。

高齢者の認知機能低下は同時に起こってくる身体機能低下、社会的役割の消失などと結びついて健康を失い要介護になりやすい高齢者特有の状態「フレイル」の要素であると考えられている。研究グループは、「住民の姿勢検診によりフレイルを早期に見つけ適切な介入をすることで、将来の要介護を防ぐ取り組みに役立てていきたい」と、述べている。

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