塩野義は2月に承認申請し、条件付き早期承認制度の適用を希望していたが、緊急時の薬事承認制度を盛り込んだ改正薬機法が5月20日に施行したことを踏まえ、同26日付で緊急承認制度の適用を希望する申請を行った。
改正薬機法の施行に伴い、薬事分科会は運用ルールである規程を一部改正し、緊急承認制度に関する内容を追記。同制度適用の是非については、医薬品部会だけでなく分科会でも審議することとした。分科会での審議に関して、厚生労働省は「部会の開催から一定期間が必要となるため、部会から数週間は必要ではないか」との見通しを示している。
同制度では、国民の生命と健康に重大な影響を与える恐れのある疾病の蔓延など緊急時に、他に代替手段がないと政府が判断した場合、安全性については「確認」、有効性は入手可能な臨床試験成績から「推定」した上で、医薬品等の承認を可能としている。承認期限は概ね2年間で、期限内に改めて有効性を確認するが、1年を超えない範囲内で期限を延長できる。
同剤は軽症から中等症のコロナ患者を対象とする経口治療剤で、塩野義は国内第IIb相試験の解析で良好な結果を得たため、製造販売承認を申請していた。
同試験では、オミクロン株流行後の患者428人を対象に、プラセボ対照二重盲検比較試験として実施し、同剤を1日1回、5日間経口投与し、抗ウイルス効果や臨床症状の改善効果を評価した。
主要評価項目の抗ウイルス効果について、3回投与時点のウイルス力価のベースラインからの変化量を解析した結果、同剤投与群ではプラセボ投与群に比べて有意にウイルス力価が減少していた。
ただ、症状改善効果については、同剤投与群ではプラセボ群に比べて改善方向に推移したが、有意な差は認められなかった。
安全性の面では、新たに懸念される有害事象は見られなかったとしている。