岸田氏は、危機管理庁の創設により「感染症対策の企画立案・総合調整の機能を強化、一体化する」と明言。厚労省における平時からの感染症対応能力を強化するとし、各局にまたがる感染症対応・危機管理部門を統合して感染症対策部を新設するほか、生活衛生関係の組織も見直し、医療行政の重点化を図る。
専門家組織の一元化にも言及した。国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、厚労省のもとに日本版CDCを新設。感染症対策部、日本版CDC、自治体で連携体制を構築するとした。
有事の際には、感染症対策部、物資調達や広報等を担う関係省庁職員を危機管理庁の指揮下に置き、首相のリーダーシップで一元的に対策に取り組む。
岸田氏は、「有事と平時、それぞれメリハリを利かせた体制を作ることを考えた。次の感染拡大をはじめとした危機に対して迅速、機動的に対応できる体制を作りたい」と述べた。
危機管理庁の設置は、同日に取りまとめられた新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の報告書内容を踏まえたもの。
報告書では、医療機関等に対する行政権限の強化など、感染症危機に迅速・的確に対応するための司令塔機能を強化すると共に、強化された機能を活用して一元的に感染対策を指揮する司令塔機能を整備するよう求めていた。
具体的には、首相が司令塔となって行政各部門を指揮命令し、一元的に感染症対策を実施する体制を強化すること、関係省庁の実働組織が一体的に取り組む体制を構築すること、機能しているかを政府全体の立場からチェック、改善することも必要とした。
ワクチン・治療薬については、開発能力を持つ企業を育成する平時からの取り組み、疫学研究・臨床研究・創薬等で医療情報を利活用する枠組みが不十分で、実用化に時間を要したと指摘。そのため、平時からの研究開発・生産体制を強化し、迅速な開発・供給を可能にする体制を構築すること、医療情報の利活用を推進する取り組み、基礎研究を含めた研究環境の整備を求めた。
ワクチンの接種体制に関しても、担い手である医師や看護師等の確保が課題になったとして、感染症危機時における接種の担い手の確保が必要とした。
次の感染症危機に備え、医薬品等を安定的に生産・供給できる仕組みづくりも不可欠とした。