後藤茂之厚労相は、検討会立ち上げについて、「足下では医薬品の品質確保、安定供給の問題、新薬のドラッグラグの懸念など、国民への医薬品供給に影響を及ぼす課題が生じている」と背景を説明。「国民に必要な医薬品を安定的、迅速に供給するため、薬価制度のあり方も含めて産業構造やビジネスモデルなど幅広く検討し、制度改革に取り組みたい」とした。
有識者検討会では、学識経験者が▽医薬品産業・医薬品卸売産業の現状と課題▽国民皆保険の持続性を確保しつつ、医薬品の品質・安定供給を確保する流通制度や薬価制度のあり方▽持続的成長を続けるための今後の医薬品産業のあり方(産業構造・ビジネスモデル)――を主な検討事項として議論する。
このうち、薬価制度については、濱谷浩樹保険局長が「有識者検討会の検討状況を踏まえつつ、中医協で必要な議論を行いたい」とと述べた。
日本製薬工業協会の岡田安史会長は「流通、薬価制度は制度疲労を起こしており、抜本的見直しの時期を迎えている」と指摘。特に産業構造については「最も影響を与えるのは、新薬、長期収載品、後発品に関していかにメリハリをつけ、どのような構成にするかという議論だ」と強調した。
日本製薬団体連合会の眞鍋淳会長は、国民皆保険の持続性に言及し、「対象は薬価だけでなく、医療全体に関わる。どこまで国民皆保険で担うかを議論するのであれば薬価以外も議論すべき」とした。
欧州製薬団体連合会(EFPIA)の岩屋孝彦会長は、「医薬品の品質・安定供給にとどまらず、革新的新薬を届け、国民のアクセスを確保するとの観点から議論することも明記してほしい」と注文をつけた。
製薬団体の意見を受け、後藤氏は「財源確保の議論ではなく、より幅広い視点から医療制度をどう作るか、薬価制度を含めた制度をどう見ていくかを議論したい」と述べた。