2022年度診療報酬改定で看護の処遇改善が実施されることを受け、15日に開かれた中央社会保険医療協議会総会では、委員から処遇改善を受けられるコメディカルの対象に病院薬剤師を含めるよう求める意見が相次いだ。
22年度改定では、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、10月以降に収入を3%程度(月額平均1万2000円相当)引き上げるための処遇改善の仕組みを創設。介護・障害福祉の処遇改善加算の仕組みを参考に、予算措置が確実に賃金に反映されるよう適切な担保措置を講じることとしている。
対象職種については看護師に加え、看護補助者、理学療法士・作業療法士等のコメディカルの処遇改善にも財源を充てることができるよう柔軟な運用を認めている。この日の総会では、処遇改善に関する点数設計や処遇改善の要件などが議論され、委員からは処遇改善の対象職種として病院薬剤師を加えることへの要望が出た。
島弘志委員(日本病院会副会長)は「医療機関に働く薬剤師を入れた方がいい。病院薬剤師が患者の治療に役立っているとの声を聞いている」と語った。
池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)も「配分に関しては現場の裁量を捉えてあげた方がいい。病院薬剤師も十分に対象になり得る」と同調し、有澤賢二委員(日本薬剤師会常務理事)も「(対象となる)病院については200回の救急受け入れ、三次救急の要件があるが、医療機関で勤務する薬剤師も大変な苦労をしている。可能であれば検討をいただきたい」と要望した。
そのほか、「薬剤師を対象に含めなければ他のコメディカルとの不公平感が増す」との意見も出た。
これら意見に対して厚生労働省は、「前提として大臣折衝の内容をベースに今年度予算措置された部分を診療報酬を使ってどう実現していくかが中医協で検討いただく射程範囲となる。実現できること、できないことがあるが事務局で精査したい」と述べた。次回以降の総会で看護職員の処遇改善に関する論点整理を行う予定だ。