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COVID-19、入院時の腎機能障害とその重症度が急性期の予後不良因子に-横浜市大ほか

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2022年06月16日 AM10:33

COVID-19で入院の500人対象、腎機能と院内死亡等の複合条件との関連を評価

横浜市立大学は6月14日、(COVID-19)患者における入院時の腎機能がもたらす急性期の予後への影響を検討し、入院時に腎機能障害が認められたCOVID-19患者は、腎機能障害がない患者と比較して、院内死亡、体外式膜型人工肺(ECMO)および人工呼吸器の使用、集中治療室()入室の合計からなる主要評価項目の発生リスクが有意に高いことを明らかにしたと発表した。この研究は、同大附属市民総合医療センター心臓血管センター内科の佐藤亮佑医師(University of Göttingen留学中)、松澤泰志講師、日比潔准教授、木村一雄客員教授、同大大学院医学研究科循環器・腎臓・高血圧内科学の田村功一主任教授、東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科の坪井伸夫准教授、横尾隆教授、埼玉医科大学腎臓内科の岡田浩一教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Clinical and Experimental Nephrologyにオンライン掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

2021年10月8日時点で、480万人以上がCOVID-19により亡くなっており、COVID-19患者の重症化・重篤化に関連する因子を特定することが非常に重要だ。一方、腎機能障害は肺炎や尿路感染症などのさまざまな感染症の重症度や予後に影響する因子であり、COVID-19患者の腎機能障害有無の把握は、その後の重症化リスクを判断するのに役立つ可能性がある。

そこで研究グループは、厚生労働科学特別研究事業『Post-corona/with-corona時代における持続可能な腎臓病診療・療養の堅牢な体制構築』(研究代表者:川崎医科大学副学長/腎臓・高血圧内科学の柏原直樹主任教授)による研究として、COVID-19の入院時の段階における腎機能障害が、その後の重症化や急性期死亡率の上昇と関連するかどうかを検討した。

今回の研究は、横浜市立大学附属市民総合医療センター、東京慈恵会医科大学附属病院、埼玉医科大学病院、横浜市立大学附属病院を含めた国内8病院にCOVID-19で入院した500人(平均年齢51歳)を対象として実施。調査期間は2020年2月5日~12月31日だった。同研究における腎機能障害の定義を、入院時の推定糸球体濾過量の減少(eGFR<60 mL/min/1.73 m²)またはタンパク尿(尿定性法1+以上)とした。主要評価項目は、院内死亡、ECMOおよび人工呼吸器の使用、ICU入室の複合条件とした。

入院時腎機能障害ありで主要評価項目の発生増加

研究の結果、171例(34.2%)の患者に入院時の腎機能障害が認められ、主要評価項目は60例(12.0%)で観察された。腎機能障害のある患者はない患者と比較して、主要評価項目が有意に多く発生(25.2%vs5.2%)。多変量解析の結果でも、入院時の腎機能障害は主要評価項目の発生増加と有意に関連した。

また、入院時の腎機能障害の程度やタンパク尿の有無と主要評価項目の発生頻度との間には有意な関連性が認められた。

初期の腎機能評価、COVID-19重症化判断に役立つと期待

これまでに、横浜市立大学大学院医学研究科循環器・腎臓・高血圧内科学教室では、2020年2月1日~5月1日までに循環器・腎臓・高血圧内科学教室関連の神奈川県内の6医療機関(横浜市立大学附属市民総合医療センター、神奈川県立循環器呼吸器病センター、藤沢市民病院、神奈川県立足柄上病院、横須賀市立市民病院、横浜市立大学附属病院)に入院したCOVID-19患者151人を対象として、COVID-19の病態に影響を与える背景や要因を解析するための多施設共同後ろ向きコホート研究(Kanagawa RASI COVID-19研究)を、臨床アウトカムを検討した日本における最初の研究として行っている。その結果、高齢(65歳以上)、心血管疾患既往、糖尿病、高血圧といった要因が重症の肺炎と関連があることを明らかにするとともに、レニン-アンジオテンシン系阻害薬がCOVID-19の重症化を予防する可能性も明らかにした。今回は、厚生労働科学特別研究事業として、前回のKanagawa RASI COVID-19研究の参加施設に加えて、東京慈恵会医科大学附属病院、埼玉医科大学病院も参加し、より多くのCOVID-19患者を対象に解析を行った。

今回の研究成果により、COVID-19患者における初期の腎機能評価がその後の重症化の判断に役立つことが期待される。また、Post-corona/with-corona時代においても生活習慣病からの堅牢な診療体制構築を含めた包括的腎臓病対策の重要性があらためて示されたと考えられる、と研究グループは述べている。

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