厚生労働省は10日、米ファイザーの「コミナティ筋注」などmRNAを含有する新型コロナウイルスワクチン3品目の添付文書改訂案を厚生科学審議会と薬事・食品衛生審議会の合同会議に示し、了承された。2品目で接種後にギランバレー症候群(GBS)疑い事例が確認されたため、「重要な基本的注意」の項目で注意喚起する。
改訂対象はファイザーのコミナティ筋注、「同5~11歳用」、武田薬品の「スパイクバックス筋注」の計3品目。重要な基本的注意の項に、接種後にGBSの疑い事例報告があること、疑われる症状が見られた場合は直ちに医師に相談するよう予め説明することを注意喚起として追記する。
コミナティ筋注では、5月15日までに製造販売業者から、接種後のGBS疑い事例が181件報告されたが、同5~11歳用では報告されていない。スパイクバックス筋注については、疑い事例が30件報告されている。
これら疑い事例が報告された2品目に関して、報告頻度と接種開始以前の背景発現率を比較・解析した結果、「いずれの性別、年齢層でも報告頻度が統計学的に有意に高くなることはなかった」と結論づけた。
海外の添付文書の記載状況を見ると、米国、英国、欧州では、接種後のGBSに関する注意喚起を行っていない。
厚労省はこれらを総合的に判断し、疑い事例が報告された2品目だけでなく、コミナティ筋注5~11歳用の添付文書についても、成人向け製品の報告状況を踏まえて同様の内容で改訂することを提案。委員から特段の異論は上がらず、提案内容で了承された。
一方、この日の合同会議では、子宮頸癌(HPV)ワクチンの積極的勧奨再開後の期間も含めた同ワクチン接種後の副反応疑い事例が報告され、予防接種の継続を決めた。