骨太方針では、医療分野でDX化とイノベーションを進め、積極的にデータヘルス改革を推し進めるため、薬局でオンライン資格確認システムの導入を義務付けると共に、マイナンバーカードの保険証利用をさらに進めるため関連する支援等の措置を見直すとしている。
日薬は、オン資について「保険資格の確認、特定健診等情報・薬剤情報の閲覧はもとより、今後電子処方箋の運用や全国医療情報プラットフォームにつながる重要な医療情報連携基盤と認識している」とし、薬局・薬剤師として医療DX化への適切な対応を含め、引き続き積極的な導入に尽力していくとした。
一方で、普及に当たっては「費用的な面などから対応が困難な薬局等への配慮も必要」とし、「地域医療に混乱をもたらすことのないよう政府・関係行政において医療機関・薬局等への導入・維持に必要な支援と共に、マイナンバーカードの保険証利用等について国民への丁寧な説明をお願いしたい」と政府に要請した。
新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延への対策の教訓から、「新たな感染症有事への対応を模索すると共に、医薬品の品質・安定供給の確保と創薬力の強化を図り、持続可能な社会保障の実現に向けた全世代型社会保障の構築等に取り組んでいく」と表明した。
■山本会長「評価はしたくない」‐薬剤師の診療補助
同日の定例会見で山本信夫会長は、閣議決定された規制改革実施計画に盛り込まれた薬剤師の在宅における診療補助に言及。日薬として反対を主張している調剤の一部外部委託も検討事項に盛り込まれていることを踏まえ、「規制緩和については、いいか悪いかの評価はしたくない」と明言を避けた。
規制実施計画では、在宅医療の現場における人材不足を踏まえ、看護師が行っている点滴薬の充填や交換、褥瘡への薬剤塗布といった診療補助を薬剤師が実施できるかについて、今年度から検討を始める方針が示された。
山本氏は、「看護師、薬剤師、医師のそれぞれに本質的な仕事があって、それぞれの専門職の中で何がタスクシェアができるのかが本来議論されるべき問題。規制を動かすことで枠を超えてしまえというのは乱暴な議論」と述べた。
その上で「『看護師がする仕事を薬剤師にやらせてほしい』ではなく、『現場の患者さんに何が一番やるべき仕事なのかを考えたときに、どこがシェアできますか』になると思っている。目の前の困っている患者さんにどう対応していくかという点については、3師会でタスクシェアを行うことに異論はなく、その解決法をそれぞれの専門職が納得いくように押さえていくことが必要」と述べ、規制で規定すべき問題ではないとの考えを示した。