被験者120人対象、健常・MCI・認知症の3グループで脳波を計測
慶應義塾大学は6月10日、簡単な脳波計測だけで軽度認知障害(MCI)の可能性を示すことに成功したと発表した。この研究は、同大理工学部の満倉靖恵教授、同大学グローバルリサーチインスティテュートのブライアン・スマリ特任講師らの研究グループによるもの。研究成果は、「BMC Psychiatry」に掲載されている。
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認知症の人口は、現在600万人以上とされ、65歳以上の6人に1人は発症しているとされている。2040年には4人に1人は認知症患者になるのではないかとされ、これからさらに増えていく中で、その早期発見が望まれている。しかし、まだ早期に発見するための確立された方法がない。特に、IoTヘルスケアなどの取り組みが進む中で、簡単なデバイスで心疾患などの検知をしようとする取り組みは行われているが、いまだ認知症の早期発見の可能性を示したウェアラブルセンサなどは存在しない。
今回、研究グループは簡易にいつでもどこでも計測できる脳波計を使って、120人の被験者を対象に、健常・MCI・認知症の3グループに分けて脳波を計測した。
健常者・MCI・認知症の脳波、それぞれの特徴が明らかに
研究の結果、計測したそれぞれのグループにおいて、脳波の周波数の特徴が判明。健常者・MCI・認知症の脳波には、それぞれの特徴があることが明らかになった。この特徴を使えば、脳波を取得するだけで認知症やMCIを判定することができるという。
負担なく頭に巻くタイプの脳波計、約30秒で計測
今回の研究で使用した脳波計は、負担なく、頭に巻くタイプ。取り付けに約15秒、計測開始までにキャリブレーションとして15秒、トータル30秒程で計測が可能だ。動いても瞬時でノイズを除去し、スマートデバイスに脳波を送る。安定して計測ができるので、どこでも簡単に計測を可能にした。
家で簡単に、MCIや認知症の可能性を計測できるようになると期待
これらを日常的に使うことで、家にいたまま病院にいくことなく、簡単にMCIや認知症の可能性を計測できるようになると期待される。
さらにより多くの人々の協力を得て有効性を示すことで、家庭でも簡単に自分の状態を知ることができると考えており、認知症の早期発見に貢献できるよう努めていく予定だ、と研究グループは述べている。
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・慶應義塾大学 プレスリリース