後発品を中心とする供給不安については「後発品への信頼が失墜する中、まずは業界として後発品の品質と安定供給の確保に向け最大限の取り組みを実行し、後発品の信頼回復を図っていく必要がある」とした。
その上で、持続的な安定供給が可能になるよう「新規後発品の薬価や薬価改定方法については慎重な議論を進める必要がある」と指摘した。
後発品の価格帯集約ルールでは、価格引き上げ抑制施策による効果はあったとしつつ、「他製品の市場実勢価格の影響を受ける予見性に乏しいルールであり、銘柄によっては自身の市場実勢価格を下回る改定を受けることとなり、長期的な安定供給に支障を来すおそれがある」と分析。市場実勢価を反映したルールを検討していく必要があるとした。
長期収載品の薬価算定ルールにも言及。後発品への転換を促すため、後発品置き換え率に応じて薬価を定める「G1/G2ルール」の見直しについて、企業アンケートで「中医協での議論が不十分なまま」見直されたことへの不満の声を踏まえ、「後発品の使用促進や安定供給に与えた影響が十分検証されないまま行うべきではない」と指摘した。
薬価研の調査によると、同ルールが適用された1001品目のうち、安定確保医薬品は348品目(G1:142品目、G2:62品目、C:144品目)に上る。
薬価研は「累次の薬価引き下げが、医療上必要とされる医薬品の安定供給やその体制整備に与える影響を踏まえつつ、安定確保医薬品における薬価上の措置の拡充や、基礎的医薬品など他のルールとの関わりも合わせた検討を行う必要がある」とした。
後発品と同じ薬価となった先発品が市場から撤退できる「G1撤退スキーム」にも言及。18年度適用品目が24年度改定で後発品と同価格になるために、スキーム見直しを検討する時期に来ていると指摘。
「市場撤退希望が実現に至らなかったG1品目は、薬価が後発品価格に強制的に引き下げられるにも関わらず、安定供給等の市場での役割を継続することを踏まえれば、後発品と価格差を設ける等の薬価上の措置を検討すべき」とした。
基礎的医薬品については、対象範囲の拡充の一方で、最も優先して取り組みを行う安定確保医薬品のカテゴリA品目の限定的な対応であったとして、対象範囲の拡充の検討が必要だとした。
不採算品再算定についても、同再算定を希望したものの適用されなかった品目がカテゴリA18品目、カテゴリB1品目、カテゴリC33品目があった。
薬価研は「長期にわたり供給を続ける品目については、世界情勢を背景とした原材料コスト増などにより不採算に陥り安定供給に支障を来す可能性があることから、不採算品再算定については引き続き確実な適用が必要である」と指摘した。