製造販売業者と製造業者が適切に委受託を行うためのGQP省令の運用に課題があることが、厚生労働行政推進調査事業「医薬品の製造販売業者による品質管理の体制構築に向けた調査研究」(研究代表者:山口東京理科大学薬学部下川昌文教授)で指摘された。GQP省令で製造業者と製造販売業者が事前に取り決めを行うことや、直接の委託先以外への適切な管理監督のあり方についても明確化するよう提言している。
研究班では、GQP制度を運用する上での課題として、「製造販売業者が製造所に関する情報を適正に入手できない」「GQP省令に基づく取り決めが適正に機能していない」「製造販売業者による監査の実効性がない」「製造販売業者におけるGQP業務に携わる人員が不足している」など12項目を抽出。
製造所に関する情報が適正に入手できない問題点への対応策として、製造所で重大な逸脱が発生した場合に製造販売業者に対して情報提供がなされるよう事前の取り決めが必要との考えを示した。GQP省令で取り決めの改訂が必要であるかを定期的に検討し、必要に応じて対応することを製造販売業者に義務付けるよう求めている。
また、製造販売業者でGQP業務に携わる人員が不足している問題にも言及。製造販売業者は監査などの業務を外部業者に委託している場合があり、製薬業界からはこれら業務を業務委託可能とGQP省令に明示してほしいとの要望が出ているが、「委託を可能にするために法令上の規定を設けるまでの必要性は低い」と断じた。
厚生労働省は5月、法令違反の報告が行われるために、製造販売業者と製造業者間で予め取り決めを行うよう求める通知を発出している。