政府の経済財政諮問会議は5月31日、医薬品の安定供給確保や創薬力強化などを盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針)の原案をまとめた。薬価については「極めて各論」として、毎年薬価改定の実施に関する記載はなかった。7日に予定される閣議決定に向け、次回会合で取りまとめる考え。
原案では、「持続可能な社会保障制度の構築」を明記。22年度診療報酬改定で導入されたリフィル処方箋について、普及・定着に向けた仕組みの整備を実現するとした。
医薬品産業ビジョン2021の記載内容などを踏まえ、医薬品の品質・安定供給の確保と共に創薬力を強化し、科学技術力の向上とイノベーションを実現する。特に癌・難病分野の創薬推進に向け、臨床情報と全ゲノム解析の結果に関する情報を連携させ搭載する情報基盤を構築し、利活用に関する環境を整備。がん対策推進基本計画の見直しなど癌対策も進める。
5月25日に公表された財政制度等審議会の建議では、薬価の毎年改定を早期に「完全実施」するよう求めていたが、骨太方針の原案では薬価に関する記載はなかった。
この理由について、諮問会議後に記者会見した山際大志郎経済再生担当相は「個別具体的なものは各省庁に任せることもある」とした上で、「全体の方向性を示すのが骨太方針なので、薬価という極めて各論の話については載せるものではないという理解だ」と説明した。