3月の前回会合では、文科省の調査研究班が改訂コアカリの素案を公表。▽衛生薬学・公衆衛生薬学▽臨床薬学▽薬剤師として求められる基本的な資質・能力――など7項目で構成し、項目ごとに学習目標や学習事項を示している。
この日の委員会では、委員の意見を踏まえた素案が示され、「学習事項」の趣旨も記載した。同事項では、目標達成に必要な知識、技能等を示したものの、あくまでも例示にとどめ、各大学が具体的内容を考えて独自のカリキュラムを構築することとした。
大学の自主性を尊重するため、学習事項の必要性も含めたあり方が焦点となったが、長津雅則委員(日本薬剤師会常務理事)は「例示があった方が非常に親切なので良いが、項目ごとに例示の詳細さに大小があってはならない。詳細さに関するレベルを統一すべき」とした。
伊藤智夫委員(薬学共用試験センター理事)も、「例示がなければ、大学でどこまで教えて良いかが分からなくなり、1~4年次のカリキュラムを作れなくなる」と懸念を示した。
石井伊都子委員(日本病院薬剤師会理事)は、「医療は標準化を図らないと安全を保てないので、ここまではやるべきという最低限のものを示せれば良い」とした。
矢野育子委員(神戸大学病院教授)も、「学習目標を詳細に記すとSBOになってしまい、もともとの意向と異なるので、学習事項の例示はあった方が良い」とし、項目全体で統一して作ることを議論すべきとした。
一方、調査研究班は各項目ごとの前回素案からの変更点も公表した。「医療薬学」の項目では、発生、発達、老化に関する学習はライフサイクルを考える上で必要とし、患者情報に関する学習事項の例示を追記。薬物療法の個別最適化に必要な患者情報として、遺伝的要素、臓器障害、年齢的要因(高齢者、小児、乳児)、生理的要因(妊婦、体質)などを記した。
歯科治療の知識と学習項目も追加すべきとの意見も踏まえ、セルフケアに関する項目のうち、口腔ケアの内容を追記した。
臨床薬学の項目では、患者の服薬行動について薬剤師は服薬管理を行うことを学習目標に追加した。また、前回まで「科学的根幹としての基礎薬学」としていた項目名は、「基礎薬学」に変更している。