■財政審が建議
財務省の財政制度等審議会は25日、2023年度予算編成に向けた建議を取りまとめ、鈴木俊一財務相に提出した。薬学部の入学定員数について初めて内容に盛り込み、定員数抑制も含めた適正な定員規模のあり方を早急に検討するよう求めたほか、毎年薬価改定の完全実施を迫った。市場実勢価格の加重平均値に対して上乗せを行っている調整幅の廃止も要求した。
医療分野では、薬価のあり方を明記。22年度から湿布薬の上限枚数が変更されたことを例に、「保険給付範囲を見直すことでイノベーションに役立つ医薬品等の登場を促す財政余地が生じる」とし、既存薬の保険給付範囲の見直しを加速化、徹底すべきとした。毎年薬価改定では、21年度の対象品目が全体の約7割にとどまったことなどから、早期に完全実施するよう求めた。
市場実勢価格の加重平均値に対して上乗せを行っている調整幅のあり方は廃止を含めて見直し、少なくとも段階的縮小を実現すべきとした。
調剤報酬については、調剤技術料に占める調剤基本料、調剤料、薬学管理料の割合が過去10年間でほとんど変化がなく、対物業務から対人業務への構造転換を図る姿勢が見えないと指摘。あり方を体系的に見直すことが不可欠とした。
将来的に薬剤師数が過剰になるとの予測を踏まえ、薬学部・薬科大学の入学定員数の抑制も含めて適正な定員規模のあり方や仕組みを早急に検討し、対応策を実施することも求めた。かかりつけ薬局・薬剤師以外の処方箋受付における負担のあり方も検討を深めるべきとした。
高額薬剤への対応として、市場拡大再算定など現行ルールの徹底と強化が不可避と記載。また、現在より幅広い医薬品を対象に、休薬を含めた投与量の調整方法等に関する最適使用推進ガイドラインを策定すべきとした。
費用対効果評価制度では、長期収載品も含めて広く分析対象とする基準を設けるべきとした。費用対効果が低く他の医薬品で代替可能な場合は保険収載の対象外とするなど、保険償還可否の判断に用いること、費用対効果に基づいて医薬品使用の優先順位を定める仕組みの構築も求めた。
一方、新薬の薬価算定では、類似薬効比較方式で類似薬に後発品が上市されている場合は、後発品の価格を考慮して薬価を定めるよう算定の厳格化を要求。
22年度診療報酬改定で導入されたリフィル処方箋の発行が低調な現状を踏まえ、患者の希望やニーズの充足を阻害する動きがないかといった運用面を含めたフォローアップを徹底するほか、促進に向けた周知と広報を図るべきとした。
都道府県でも、後発品の使用促進だけでなく、長期Do処方からリフィル処方への切り替え、地域フォーミュラリの策定、多剤・重複投薬の解消など、医療費適正化に向けた努力を促す必要があるとした。