■規制改革会議が答申
政府の規制改革推進会議は27日に答申を取りまとめた。医療・介護分野では、在宅医療の現場における人材不足を踏まえ、看護師が行っている点滴薬の充填や交換、褥瘡への薬剤塗布といった診療補助を薬剤師が実施できるかについて、今年度から検討を始める方針を盛り込んだ。薬局の一部調剤業務についても、外部委託可能とするよう検討することも明記した。
答申では、在宅医療の現場における医療人材の不足を踏まえ、タスクシフト/タスクシェアの推進を盛り込んだ。現在は、医師の指示を受けた看護師が実施している診療補助である点滴薬の充填と交換、褥瘡への薬剤塗布などの行為を薬剤師が行うことが適当かどうかも検討する。
医師法では、医師以外が人体に危害を及ぼす恐れのある「医行為」を行うことを禁じているが、現行制度では、在宅医療における点滴薬の交換、褥瘡への薬剤塗布といった診療補助は、医師の指示を受けた看護師が実施できる。
ただ、薬剤師が診療補助を行うことは認められていないため、医師や看護師が患者宅を訪問するまで薬剤を使用できず、薬剤使用のタイムラグが生じることが課題とされている。看護師だけではなく、薬剤師まで対象を拡大することでタスクシフト/タスクシェアを進めていきたい考え。
また、薬剤師の対物業務の効率化を目指し、薬局の調剤業務のうち、一定の薬剤に関する調製業務の外部委託を可能にし、安全確保のために委託元や委託先が満たすべき基準、委託先への監督体制など、技術的詳細を検討することとした。具体的な検討事項として、▽対象となる調製業務▽委託先の範囲▽役割分担および責任関係のあり方――を挙げた。
医薬品へのアクセスを円滑化するための施策も明記した。厚生労働省の「医療用医薬品から要指導・一般用医薬品への転用に関する評価検討会議」で申請を受理したものの、未だに検討されていない品目の有無を確認するよう要求。2020年度以前の申請に対して結論が出ていない品目については、件数と理由、行政の申請者に対する指摘内容、海外主要国におけるOTC医薬品としての販売・承認状況等を調査するよう求めた。
デジタル技術によって有資格者が販売店舗に不在でも販売可能とする制度設計についても議論する。過去5年以内に2年以上かつ1920時間以上の実務経験を求める登録販売者の店舗管理者要件について、追加的なオンライン研修等を条件としつつ、「1年以上」に見直すべきとした。
デジタル化の面では、薬局薬剤師が薬局以外にも自宅でオンライン服薬指導することに関して、実施可能な薬剤師や対象患者、薬剤等を限定せずに実施できるよう検討。さらに、要指導医薬品のオンライン服薬指導の実施に向けた課題も整理する。
2023年1月に稼働予定の電子処方箋については、整備予定の処方・調剤システムへの登録数に関する年度ごとの数値目標を設定するほか、毎年度の発行数も公表する。
治験の円滑化も明記した。実施医療機関の医師が被験者に必要な説明を行い、同意を得ることについて、遠隔で行うために適切な方法やデータの信頼性確保に関するガイダンスを策定。依頼者から被験者への治験薬の直接配送について、海外での取り扱い状況を調査した上で実施可否を検討する。