Oncoplastic Surgeryによる治療の有用性を検討
大阪公立大学は5月24日、形成外科医による四肢皮膚悪性腫瘍切除および静脈皮弁再建術の有用性を明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科形成外科学の出口綾香病院講師、元村尚嗣教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Plastic and Reconstructive Surgery-Global Open」に掲載されている。
四肢は皮膚悪性腫瘍の発生が比較的多く、従来は根本的治療として切断術が行われることも少なくない。しかし、近年は、適切な切除・再建を行えば、温存は可能であるという概念が主流となりつつある。そのため、腫瘍のリンパ流とは関係のない部位からの皮弁再建が望ましく、また腫瘍切除が主である以上、低侵襲の再建手術が望まれている。
近年、がんをはじめとする腫瘍治療に対して、Oncoplastic Surgeryの必要性が言われており、腫瘍学的にも整容的にも優れた再建手術が求められている。しかし、四肢皮膚悪性腫瘍に対して、腫瘍学的・整容的に配慮した治療、すなわちOncoplastic Surgeryによる治療の有用性については報告されていない。
適切な切除・再建で、四肢や術部温存が可能と示唆
そこで今回研究グループは、四肢皮膚悪性腫瘍に対して、患肢(指、趾)温存した腫瘍拡大切除、患側とは対側からの静脈皮弁による再建を第1選択とした。今回の研究では、四肢皮膚悪性腫瘍に対して患側とは対側からの静脈皮弁による再建を13例施行した。
その結果、本法を用いることで、特に四肢末梢(指、趾)においては、腫瘍学的にも整容的にも優れた結果をもたらすことが明らかになった。この研究成果は、皮膚悪性腫瘍患者において適切な切除・再建を行えば四肢や術部の温存は可能であることを示唆している。
今後は静脈皮弁における再建手術方法の改良による更なる術後結果の向上、血行動態などを含めた静脈皮弁の知識を症例蓄積と共に深めていく、と研究グループは述べている。
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・大阪公立大学 プレスリリース