サル痘は、オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症。主にアフリカに生息するリスなどのげっ歯類やサル・ウサギなどウイルスを保有する動物との接触でヒトに感染する。
サル痘はヒトからヒトに感染することがあり、主に接触感染や飛沫感染をし、報告はされていないものの空気感染を起こす可能性も指摘されている。
英国保健省によると、男性間の性交渉を行う者で感染事例が多いと指摘されている。
発熱や頭痛、リンパ節腫張などの症状が0~5日程度持続し、発熱1~3日後に発疹が出現した後、多くの場合は2~4週間持続し自然軽快するものの、小児例や曝露の程度、患者の健康状態などで重症化する場合もある。致命率は1~11%程度とされている。
欧州では天然痘治療薬が承認されているが、日本で利用可能な薬事承認された治療薬はない。一方、天然痘ワクチンによって約85%の発症予防効果があるとされている。
1970年にヒトでの感染が発見されて以来、中央アフリカから西アフリカにかけて流行し、2017年からナイジェリアで患者数が増加。今年5月以降に欧州や北米などでサル痘の感染例や疑い例が報告されている。
英国では同6日以降、9例のサル痘事例が確認されている。英国以外では、同17~19日までの間で、スウェーデンで確定例1例、ポルトガルで確定例5例、疑い例20例、米マサチューセッツ州で確定例1例、米ニューヨーク州で疑い例1例、カナダで確定例2例の報告があった。
そのほかスペインやフランス、イタリア、ベルギーなどでも症例や疑い例の報道がある。
日本では感染症法に基づき、サル痘を4類感染症に位置づけ、サル痘の患者を診断した医師は都道府県知事等に対し、直ちに届け出ることを義務づけている。
医療機関に対しては、サル痘を疑う症状を呈する患者を診察した場合には最寄りの保健所に相談するよう周知を求めた。特に最近の海外渡航歴を有する疑い患者には渡航歴や性交渉歴、天然痘ワクチン接種歴等の詳細を可能な限り聴取することとした。
また、保健所と都道府県には、サル痘の疑い例を診察した医師から相談や情報提供があった場合に厚労省に相談するとし、医療機関との連携のもと検体の保存でも協力を呼びかけた。