21年度決算で「レンビマ」の全世界売上高は、欧米の伸長に加え、中国が日本の実績を上回ったことで1923億円。22年度は13%増の2180億円を計画する。
22年度に25%増の1455億円を計画する米国では、デジタルプロモーション推進により肝細胞癌市場で再びトップシェアを達成し、子宮内膜癌でもトップシェアを確立。腎細胞癌も年度内にトップシェア達成予定という。
日本は31%増の135億円を計画。背景には、発売4カ月で500人超の子宮内膜癌患者に貢献し、国内外のガイドライン推奨による腎細胞癌、子宮内膜癌のシェア大幅拡大があるという。
欧州は22%増の265億円を計画。ドイツでは発売3カ月で子宮内膜癌と腎細胞癌の急速拡大を実現、肝細胞癌でもトップシェアとなり、さらなる成長を図る。
中国では、肝細胞癌でトップシェアにあり、後発品参入も国家保険償還医薬品リストの掲載でアクセス拡大を見込む。
また、将来的な成長を期待するのは、メルクとのパートナーシップによる「キイトルーダ」との併用療法。治験「LEAP試験」の結果が22年度から今後4年間、連続的に試験結果を取得できる見通しにあることを明らかにした。
最初が肝細胞癌(LEAP-002)、子宮内膜癌(同001)、非小細胞肺癌(同006)のファーストラインを対象にするもの。内藤氏は「いずれも重要な癌種であり、大いに期待している」と語った。
免疫チェックポイント阻害剤の耐性を解除する薬剤として開発中の「E7386」にも触れ、クリニカルPOCを確認し、今後の併用療法に追加して用い、抗腫瘍効果を高めるとして期待感を示した。将来的には免疫チェックポイント阻害剤全体との併用が視野にあるとした。
同社は22年度、新規アルツハイマー病治療薬として開発中のレカネマブの進行を「最優先」で取り組む方針。内藤氏は、10月に発表した米国での迅速承認制度の申請完了が「レカネマブ実用化の大きな一歩」と位置づけながらも「本命はフルアプルーバル(承認)」と述べ、同年度中のフル承認に向けて日米欧で承認申請を目指すと改めて表明した。
フル承認の審査では、迅速承認分の治験結果以外のフル申請用の治験結果のみが審査されるため「審査期間が大幅短縮される」との見方を示した。皮下注製剤や、用量や投与回数の調整のメンテナンス用の製剤開発も進めていることを説明した。
販売見通しが不透明になった「アデュヘルム」については、21年度には販管費などで759億円が関連費用として発生したと報告。バイオジェンとの費用負担上限を設ける契約により22年度は138億円、23年度以降はゼロになると説明した。
内藤氏は、「投入された費用については大変重く受け止めている。『アデュヘルム』からの多くの教訓をレカネマブにしっかりと生かしていく」と述べ、理解を求めた。