厚生労働省は、新型コロナウイルスの診断を目的とする研究用抗原定性検査キットの販売を控えるよう求める事務連絡を都道府県に発出した。新型コロナウイルスの感染有無を確認する体外診断用医薬品として承認されたと誤認を与える研究用キットの販売が確認されたためで、薬局での抗原定性検査キット販売で消費者が医療用キットを選択できる環境整備に努めるよう周知した。
抗原定性検査キットをめぐっては、2021年9月から医療用検査キットが体外診断用医薬品として薬局での販売が認められている。
一方、診断を目的としない「研究用」と称する検査キットは性能が確認されておらず、医薬品医療機器等法に基づく診断薬としての承認も得ていない。承認を受けたものとして誤認を与える製品が確認されていたため、厚労省が販売業者に対する指導と取り締まりの徹底を2021年12月に都道府県に要請していた。
ただ、要請後の状況を踏まえ、改めて周知が必要と判断して事務連絡を発出した。質の確保が保証されていない研究用キットに関しては、感染しているにも関わらず結果が陰性であった場合、医療機関への受診が遅れて健康に重大な影響を与える可能性や感染拡大させる恐れがあると記載。薬局では販売を控えるなどし、消費者が医療用キットを選択できる環境整備に努めるよう求めた。
また、研究用キットを販売する際に、薬機法に基づく承認や使用することでコロナの罹患の有無が判断できるなど、実際よりも著しく優良と誤認を与える表示を行った場合は、「不当景品類および不当表示防止法」に反する恐れがあるとした。