医薬品製造販売業者は「医薬品等の品質管理の基準に関する省令(GQP省令)」に基づいた品質管理が求められるが、厚労省は一連の製造不正事案について、「製造販売業者による製造業者の管理が不十分だった」と原因を指摘。再発防止のため、双方が適切な品質管理業務に取り組み、コミュニケーションをより密にして相互連携を行う必要があるとした。
具体策として、製造販売業者と製造業者の適正な委託・受託関係の構築を要求。製造業者から適切な情報提供が行われるよう予め取り決めを締結しておくべき事項として、▽回収品目数とロット数▽製造所起因の品質情報の件数▽規格に適合しない結果の件数▽当局によるGMP調査や製造販売業者による定期的な確認の履歴▽是正措置と予防措置――などを挙げた。
また、法令違反に当たる、または法令違反に該当する可能性の高い事象、組織的・従業員による意図的な不正行為など、「製造所全体の製造管理と品質管理に関わる重大な事象」に関しても情報提供されるよう事前に取り決めておくよう求めた。
製造販売業者は、製造業者から適正かつ円滑に情報提供されているか確認後に記録を作成し、品質保証責任者が確認や評価の結果を踏まえ、必要な改善措置を実施することとした。製造業者にも必要な対応を可能な限り速やかに実施することを求めた。
製造販売業者による製造業者の定期的な実地確認も求めた。リスクに応じて1~3年ごとに行い、リスクが非常に低くても5年以内に確認することとした。
製造業者に市場への出荷の可否を決定させる場合、全製造所の製造等管理が適切であること、製品に関する品質情報と安全管理情報に問題がないことなどを評価する必要があるとした。
また、厚労省は製造販売業者の「薬事に関する業務に責任を有する役員(責任役員)」について、可能な限りGQP省令やGMP省令の適合調査など各調査に同席するよう求めた。
責任役員に対しては、法令遵守のための指針設定、必要な人員の確保と配置、業務のモニタリング体制、その他の各省令を遵守する体制の整備を主導して取り組むこととし、必要に応じて実施状況を行政に説明することとした。
同席しない場合でも、各調査の実施状況や結果を適切に把握するよう求めている。