検討会議ではこれまでの会合で論点に上げられたOTC化に向けた課題について、改めて意見交換を行った。中でも、緊急避妊薬をOTC化した場合の薬剤師の対応に関して懸念の声が出た。堀恵構成員(ささえあい医療人権センターCOML委員バンク登録会員)は、日本薬剤師会が3月の会合で公表した「オンライン診療に伴う緊急避妊薬の調剤に関する事例調査」の結果で、処方箋なしに緊急避妊薬を提供することに「半数が不安」と回答した結果を踏まえ、「購入する側も不安になる」と指摘した。
これに対して、岩月進構成員(日本薬剤師会常務理事)は、同調査結果で調剤実績が11件にとどまったことに対し、「実際に対応したことがないから不安になる」と率直に語った一方で、「避妊のためのアクセス機会を増やすことには不安があっても前向きに取り組むべき」と薬剤師の意識改革が必要との考えを示した。
産婦人科と薬局の連携体制をめぐっては、松野英子構成員(日本保険薬局協会常務理事)は、「薬剤師が産婦人科医と関わる中で、いかに存在意義を深められるかが今後の課題。覚悟を持って連携していきたい」と語った。
湯浅章平構成員(章平クリニック院長)は「薬剤師は連携に前向きな人が多い」とする一方、「問題は医師で、地域の産婦人科医との関係性が全く構築できていないことは真摯に受け止めるべき」と医師同士の連携を問題視した。今後に向けては、日本産婦人科医会と日本産婦人科学会が中心となって連携体制を構築していく必要性を訴えた。
これまで行われてきた議論を踏まえ、宗林さおり構成員(岐阜医療科学大学教授)は緊急避妊薬のOTC化について「産婦人科を含めて受診すること自体が非常にハードルが高い。補完する形として、OTCで対応可能とすることは決して悪くない」とした。黒川達夫構成員(日本OTC医薬品協会理事長)も、海外実態調査の結果から「副作用を起こすことなく社会に役立っていると容易に導き出せる。安全かつ有効に使いこなせるとの結論が覆されることはない」と肯定的に捉えた。