厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会は4月27日、新型コロナウイルスワクチンの4回目接種を予防接種法に基づく特例臨時接種に位置づけることを決めた。60歳以上の人、18歳以上で基礎疾患を持つ人など重症化リスクが高い人に限定して実施する。厚生労働省は、4月末から接種開始できるよう手続きを進める方針だ。
米国の大規模統合ヘルスケアシステムを対象としたオミクロン株に対する米モデルナ製品の感染予防効果を見ると、3回目接種から14~60日後は71.6%だったものの、61日後以降は47.4%に低下。イスラエルのオミクロン株流行期における米ファイザー製品の4回目接種による重症化予防効果データでは、3回目接種から4カ月以上経過した60歳以上の人では6週間減衰しなかったと報告された。
諸外国では、3回目接種から4カ月以上経過した50歳以上や中等度から重度の免疫不全者に絞ってmRNAワクチンによる接種を実施する方針が示されるなど、4回目接種は重症化リスクの高い人に限定している実態が見られる。
これらを踏まえ、厚労省は、▽重症化予防を目的に4回目接種を特例臨時接種に位置づける▽ファイザー製品とモデルナ製品を使用する▽対象者は60歳以上の人、18歳以上で基礎疾患を持つ人、その他重症化リスクが高いと医師が認める人▽3回目からの接種間隔は少なくとも5カ月以上――とする4回目接種の具体案を示した。
また、有効性・安全性に関する現時点の科学的知見を踏まえ、努力義務は60歳以上の人にのみ適用することも提案した。
分科会の決定を踏まえ、同日に記者会見した後藤茂之厚労相は、4回目接種について「5月末に開始できるよう、必要な手続きを進める」との方針を示した。
一方、この日の分科会では、ファイザー製品とモデルナ製品に関する2回目接種と3回目接種の間隔を現在の6カ月以上から「5カ月以上」に短縮することも決めた。