中高年においてSNSでのつながりは、現実の交友関係とどう関連するか
東京都健康長寿医療センター研究所は4月27日、中高年層をターゲットにしたSNS会員を対象に、SNSの代表格であるフェイスブック(以下、FB)を介したつながりの実情についてインターネット調査を行い、その結果を発表した。この研究は、同センター社会参加と地域保健研究チームの村山洋史研究副部長(テーマリーダー)らの研究グループによるもの。研究成果は、「Asia Pacific Journal of Public Health」に掲載されている。
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今や多くの日本人はSNSを日常的に使用しており、中高年者も例外ではない。この傾向は、新型コロナウイルス感染症の蔓延以降、急速に進んだ。SNSでは、実際の知り合いかどうかかかわらず、多くの人と気軽につながりを持てることが利点だ。しかし、それが現実世界の交友関係にどう関係しているかは十分に明らかになっていない。
研究グループは、株式会社オースタンスが提供している中高年層を主ターゲットとしたSNS「趣味人倶楽部」の会員を対象に、2020年3~5月にインターネット調査を行った。3,721件の回答が得られ、うち、性別と年齢に回答のある40歳以上で、FBアカウントを持つ2,320件を解析した(男性68.8%;平均年齢67.6歳)。調査項目は、「FB上での友達数」「FB友達の中で実際に親密な付き合いをしている人の数(社会的ネットワーク)」「FB友達の中で困った時に助けてくれそうな人の数(社会的サポート)」だった。
FB友達数が一定数以上で、困った時に助けてくれそうな人の数は上げ止まり
「FB上での友達」の平均は96.3人で、そのうち、「実際に親密な付き合いをしている人」は8.4人、「困った時に助けてくれそうな人」は3.5人だった。相関を調べてみると、FB友達数が多いほど、その中で親密な付き合いをしている人の数も多い傾向があった。しかし面白いことに、「困った時にあなたを助けてくれそうな人」について、FB友達数500人までは友達数と、困った時にあなたを助けてくれそうな人の数には相関があったが、501人以上になると困った時にあなたを助けてくれそうな人の数は上がり止まっていた。
SNSは現実のつながりを完全に代替できるものではないことを示唆
人との関係は、一度知り合いになったからといって、永続的につながれるわけではない。ある程度の時間と労力を割いて、関係を定期的にメンテナンスしていく必要がある。今回の研究は、SNS上の友達が多くても、困った時に助けてくれるような実際に機能する相手は一部に限られてしまうということを示唆している。
「SNSはつながりをつくるための強力なツールであるが、現実のつながりを補完する、あるいはすでにある実際のつながりを強化する働きはあったとしても、現実のつながりを完全に代替できるものではないようだ。オンラインでのつながりの良い面も悪い面も、そして限界もあるということを覚えておいた方が良い」と、研究グループは述べている。
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・東京都健康長寿医療センター研究所 プレスリリース