足立信也議員(国民民主党)に対する答弁。ドラッグラグの問題について、足立氏は「ラグがもとに戻りつつあると現場から言われている」と指摘。開発ラグが長期化している背景として、「新薬創出等加算を自公政権で縮小し、特に2018年度以降は革新性と有用性に着目して対象品目を大幅に削減したからだ」と迫った。
これに対して、岸田氏は「例えば、開発ラグは年度ごとにバラツキがあり、近年必ずしも拡大しているとは言えないとの認識を持っている」と否定的な見解を示した。また、緊急承認制度については、早期の承認申請と審査の迅速化に貢献するとして、「国民により早く必要な医薬品等を届けられる」と強調した。
後藤茂之厚生労働相も医薬品医療機器総合機構(PMDA)のデータを引用して同調した。20年度のドラッグラグが0.7年とするPMDAの試算を引用し、「開発ラグに年度ごとのバラツキ等があるため、必ずしも一概に拡大しているとは言えない」と述べた。
一方、倉林明子議員(日本共産党)は、改正案では臨床試験結果で得られた有効性データについて「確認」ではなく「推定」で承認可能としていることを追及。「第III相の検証的臨床試験によって有効性等を確認し、リスクとベネフィットを考慮した上で承認してきた薬事承認の大原則が崩れるのではないか」と述べ、緊急承認の適用拡大による安全性リスクを危惧した。
後藤氏は、具体的な適用対象となる医薬品等について「今後ガイドライン等で示し、運用の適正化に努めていく」と応じた。
川田龍平議員(立憲民主党)は、緊急承認を適用するタイミングについて「具体的に判断する主体がどこなのか」と質した。
岸田氏は「医薬品を緊急に使用するか否かについては、厚労相のみではなく政府として総合的に判断する」とし、緊急承認の終了については「国民への分かりやすい情報提供が重要」との考えも示した。