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HBOC患者への予防的卵巣摘出術の推奨年齢、日本で初めて提唱-新潟大

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2022年04月26日 AM10:45

日本人のRRSO推奨年齢をJOHBOCデータで検討

新潟大学は4月25日、(hereditary breast and ovarian cancer:)の全国登録データを用いて、/2遺伝子に病的バリアントを有する日本人女性の卵巣がん発症年齢を詳細に解析し、BRCA2病的バリアント陽性者では、BRCA1病的バリアント陽性者およびBRCA1/2病的バリアント陰性者に比べて有意に発症年齢が遅く、40歳未満の卵巣がん発症者を認めていないことがわかったと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科産科婦人科学分野の榎本隆之教授、関根正幸准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Gynecologic Oncology」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

研究グループはこれまでに、日本で初めての遺伝性乳がん卵巣がんに関するBRCA遺伝子解析を行い、BRCA病的バリアントを認める頻度や脳転移との関連、バリアント型によるがん発症リスクの違いなどを解析してきた。

BRCA病的バリアント陽性者に対するリスク低減卵管卵巣摘出術(risk-reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)は、卵巣・卵管がんの発症予防に加え、乳がん発症のリスク低減効果もあり、総死亡率の減少に貢献する。欧米では、35~40歳でのRRSOが推奨されている(NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology)。日本では、BRCA病的バリアント陽性者で、乳がんあるいは卵巣がんを発症した女性に対して、今後発症するかもしれない卵巣がんあるいは乳がんに対する予防手術が、2020年4月に保険収載された。遺伝カウンセリングの現場では、個人の生活設計とその希望にあわせて、予防手術の施行を検討しているが、閉経前の早い時期に両側卵巣を摘出してしまうと、妊娠ができなくなるだけでなく、女性ホルモンの欠落により高脂血症がおこり、心血管障害のリスクが高くなる。

BRCA病的バリアント陽性者の卵巣がん発症年齢を、日本人を対象に詳細に解析した報告はなく、予防的卵巣摘出術の推奨年齢は欧米のデータに基づいてカウンセリングが行われてきた。そこで研究グループは、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)の全国登録データを用いて、日本人における予防的卵巣摘出術の至適年齢を検討した。

BRCA2陽性群で40歳未満の卵巣がん発症者を認めず

BRCA病的バリアント陽性者3,517人での卵巣がん発症年齢は、BRCA1陽性群が51.3歳、BRCA2陽性群が58.3歳、BRCA1/2陰性群が53.8歳であり、BRCA1/2陰性群に比べてBRCA1陽性群では有意に発症年齢が若く、BRCA2陽性群では有意に発症年齢が遅いことがわかった。興味深いことに、BRCA2陽性群では40歳未満の卵巣がん発症者を認めなかった。さらに研究グループは、病的バリアントの種類によって卵巣がん発症年齢が異なるかどうかも解析したが、明らかな違いは認めなかった。

日本人BRCA病的バリアント陽性者における卵巣がん発症年齢の詳細が明らかになり、BRCA2陽性者では、RRSOを40歳まで待つことの科学的妥当性が示された。この日本人独自のデータを用いて、遺伝子の違いと現在の年齢ごとに個別の遺伝カウンセリングが可能となり、個人の生活設計にあわせてRRSOの至適年齢を検討することが可能になる。

BRCA1とBRCA2で卵巣がん発症のリスクと発症年齢が違う理由の解明へ

日本人独自の解析データは、遺伝カウンセリングを行う上で、非常に重要な資料になる。この知見を患者に理解してもらい、卵巣欠落症状と個人の生活設計、乳がん卵巣がんのリスク減少について、十分な説明と納得の上で、予防手術を受ける判断をしてもらえるものと期待しているという。「今後は、BRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子で、なぜ卵巣がん発症のリスクと発症年齢が違うのか、その発がんメカニズムの違いに関する研究を予定している」と、研究グループは述べている。

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