後藤茂之厚生労働相は22日の閣議後会見で、「新型コロナウイルス感染症治療薬実用化のための支援事業」に採択されている塩野義製薬と興和のコロナ治療薬開発に対して、最大で計115億円の緊急追加支援を行うことを明らかにした。感染拡大に備え、国産コロナ治療薬の開発加速化を図る。
塩野義による「S-217622」の開発に最大約62億円、興和の「イベルメクチン」の開発には最大約53億円を追加の補助金として交付する。
2社のコロナ治療薬開発事業は、第II・III相試験段階にある薬剤を対象とした厚労省の支援事業に採択済みで、塩野義には20億円、興和には8億1232万円が交付されている。開発の加速化に向け、同支援事業の評価委員会が2社の治療薬開発に対する緊急追加支援を適当と判断した。
一方、後藤氏は、軽症から中等症のコロナ患者向け治療薬「ラゲブリオカプセル」(MSD)と「パキロビッドパック」(ファイザー)の供給にも言及。「これまでに計162万人分が納入された」と説明した上で、ハイリスク患者により迅速に投与するため、先週から地域の拠点薬局におけるラゲブリオの在庫上限を現在の10人分から50人分に引き上げたことを明らかにした。
パキロビッドについても拠点薬局を新設して在庫上限を20人分として運用開始する。後藤氏は、「必要な人に治療薬を届けられるよう引き続き必要量の確保と供給、迅速な投与に努めたい」と述べた。