地域包括ケアシステムの構築を目指す中、小規模薬局が単独で多様な薬局・薬剤師サービスを提供するのは難しいため、地域で求められるサービスを提供するには薬局間の連携が不可欠とされている。この日の作業部会で厚労省は、地域連携のあり方として薬局間連携の中心となる「ハブ薬局」を位置づけ、各薬局が連携を通じ特色あるサービスを提供していく姿を示した。
ハブ薬局は、地域内の薬局が持つ多様なリソースを把握し、連携のハブ機能や個別薬局では難しいサービス提供などを担うとした。薬局間の連携内容としては▽無菌調剤▽災害対応▽医薬品の融通――などを例示した。
橋場元構成員(日本薬剤師会常務理事)は、「ハブ薬局という新しい類型を作るのとは異なるし、全国にハブ薬局を作るのも違う」とハブ薬局設置ありきの案に慎重姿勢を示す一方、「地域のステークホルダーが連携のあり方を話し合い、その結果としてハブ機能を持つ薬局があっても良い」と地域医療計画の中で位置づけるべきとの考えを述べた。
藤井江美構成員(日本保険薬局協会常務理事)は、へき地など医療資源が少ない地域での活用を挙げ、「医療機関も毎日は開いていない中、地域を支える意味で調整の役割を担う薬局も必要」と賛同した。
猪口雄二構成員(日本医師会副会長)は「人材や設備が充実しているチェーン薬局がハブ薬局を担うようになれば、チェーン薬局と個人薬局の問題が出てくるので、どう整理するかが難しい」と指摘。「小規模薬局の質を上げる方向に行かないと、なかなかうまくまとまらない話」とした。
山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)も、「大手チェーン薬局はスタッフの異動が多い」として、薬局間の信頼関係構築に影響が出ることを懸念した。
また、災害や新興感染症の発生時に備えた対応に関して、橋場氏は「多職種が一堂に会して決めることが必要で、その中に地域の薬剤師会が関わることが絶対に大事」との認識を示した。
しかし、佐々木淳構成員(医療法人社団悠翔会理事長)は、在宅療養となった新型コロナウイルス患者への対応を引き合いに「大手チェーン薬局が患者宅に医薬品を届け、地域の在宅患者の死亡率を確実に下げた」と評価した一方、「薬剤師会は門前払いだった。公的業務は薬剤師会が出てくると聞いているが、ほとんど機能していない」と対応を批判した。