緊急時の薬事承認制度導入などを盛り込んだ医薬品医療機器等法改正案が、15日の衆議院厚生労働委員会で全会一致で可決された。附帯決議として、製薬企業の研究開発支援や治験手続きの簡素化、薬局等における電子処方箋システムの導入支援などを求めた。
可決された薬機法改正案では、「緊急時の薬事承認制度」を導入。国民の生命や健康に対する重大な影響が懸念される疾病の蔓延時に、ワクチンや治療薬など医薬品、医療機器、再生医療等製品を対象に、安全性は通常承認と同等の水準で「確認」、有効性に関しては「推定」した上で、期限つきで承認する。
2023年1月の電子処方箋運用開始に向け、必要な整備内容も盛り込んだ。
この日の委員会では、岸田文雄首相も出席して質疑応答が行われ、原案通りの内容で薬機法改正案を全会一致で可決した。一方、野党が対案として提出していた特定医薬品特措法案、コロナかかりつけ医法案などは否決した。
ただ、与野党による附帯決議案として計19項目の内容も全会一致で可決され、後藤茂之厚生労働相は「趣旨を十分に尊重し、努力する」との考えを示した。
附帯決議では、緊急承認制度で承認された医薬品等について、検証的臨床試験の成績を提出することや、承認期限を延長する場合は1年間に限定して回数は1回とするよう記載。製薬企業の研究開発支援、治験等にかかる手続きの簡素化、緊急時には国が主導して医薬品等を確保する仕組みの創設も求めた。
電子処方箋に関しては、早期に全ての医療機関と薬局で導入されるよう、システムの導入を支援すると共に、薬局等の過度な負担とならないよう必要な配慮を実施することなどが必要とした。