患者の日常生活における副作用や体調の異変をSNSやスマートフォンアプリなどを通じて収集する「ePRO」(電子的患者報告アウトカム)を診療などに臨床応用する試みが加速している。癌治療でも外来治療が増える一方で、日常生活での体調異変は把握しづらい。そこに患者自身が体調を入力する「ePRO」を介することで、医療者が患者の状態を把握しやすくなると期待されている。12日、慶應義塾大学医学部が乳癌薬物療法の副作用情報を一定の精度で収集できるシステムを開発したと発表したほか、今年に入って複数社が臨床研究や抗癌剤の副作用管理への活用を発表するなど広がりつつある。
慶大医学部が開発したのは、LINEを利用し、乳癌患者の健康状態や薬物の副作用情報を収集するシステム。外科学教室(一般・消化器)の林田哲専任講師、北川雄光教授、同医療政策・管理学教室の宮田裕章教授、帝京大学医学部外科学教室の神野浩光教授らの研究グループは、診療において活用可能であることを明らかにした。