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【財務省】毎年改定の完全実施要求-調整幅2%は廃止視野に

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2022年04月18日 AM10:15

財務省は13日の財政制度等審議会財政制度分科会で、毎年薬価改定の完全実施など薬剤費の適正化に向けた考え方を示した。調整幅2%の廃止を視野に段階的縮小を実現することや、費用対効果評価の結果を保険償還の可否判断に用いることを要求。新薬の薬価算定の厳格化も求めた。

財務省は、2021年度から導入された毎年薬価改定について、価格乖離の大きな品目に限定して実施されたこと、長期収載品に適用されなかったことなどを踏まえ、「完全実施されたとまでは言えない」と指摘。完全実施を早期に実現するよう求めた。

市場実勢価格の加重平均値に対する上乗せを行っている調整幅2%に対しては、価格の高低を問わずに全品目一律2%の水準が約20年間固定されているのを問題視し、「廃止を含めて制度のあり方を見直し、少なくとも段階的縮小を実現すべき」と迫った。

高額薬剤に関しては、対応が困難な薬剤が上市される可能性もあるとして、「市場拡大再算定をはじめとする現行ルールの徹底や強化は避けられない」と強調。

費用対効果評価制度の対象品目として、長期収載品も含めて広く分析対象とする基準の設定や、評価結果を保険償還の可否判断にも用いることを求め、費用対効果に基づいて医薬品使用の優先順位を決める仕組みも設けるべきとした。

新薬の薬価算定では、新規性が乏しい品目は類似薬効比較方式を採用する際の算定の厳格化、原価計算方式の適正化、補正加算のあり方の見直しが必要とした。原価計算方式における営業利益率の水準適正化、有用性加算IIの「製剤における工夫」などの除外による要件の重点化のほか、類似薬がない品目で新規性が認められる要件を満たさない場合は減算する仕組みを導入すべきとした。

一方、診療報酬については、22年度診療報酬改定で導入されたリフィル処方箋について、通院負担の軽減や利便性向上といった患者のメリット、処方箋料や再診料の効率化を通じて国民負担の軽減につながるなどとして、肯定的に評価。

その上で、運用面でのフォローアップ徹底、制度の普及に向けた周知・広報、各種インセンティブ措置により、積極的な取り組みを行う保険者を評価することなどが必要とした。

調剤技術料に占める調剤基本料、調剤料、薬学管理料の割合が過去10年間でほとんど変化がなく、「対物業務から対人業務への構造転換を図る姿勢が見えない」として、調剤報酬のあり方を体系的に見直すよう求めた。

薬学部・薬科大学の入学定員では、抑制も含めた適正な定員規模のあり方や仕組みを早急に検討し、対応策を取るべきとした。

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