開発中の急性期GPP治療薬で、IL-36を阻害するヒト化抗体
独ベーリンガーインゲルハイムは3月28日、急性期の膿疱性乾癬(汎発型)(Generalized Pustular Psoriasis:GPP)患者に対するスペソリマブの第2相臨床試験であるEffisayil(TM) 1試験の新たなデータを発表した。研究成果は、2022年米国皮膚科学会(AAD)年次総会で発表された。
GPPは、希少な難治性皮膚疾患であり、尋常性乾癬とは区別される。GPPの急性期症状は、クオリティオブライフに重大な影響を及ぼし、心不全、腎不全、敗血症などの生命にかかわる重篤な合併症を引き起こす可能性がある。
スペソリマブは、GPPを含む複数の自己炎症性疾患の病因に関連する免疫系のシグナル伝達経路インターロイキン36受容体(IL-36R)の作用を阻害する新規ヒト化選択的抗体。検出力のある無作為化プラセボ対照試験で、急性期GPPの治療として評価されたIL-36経路を特異的に標的とするファーストインクラスの化合物である。急性期GPPの発生を予防する維持療法薬として、また、掌蹠膿疱症(PPP)や化膿性汗腺炎(HS)などの他の好中球性皮膚疾患の治療薬としても研究が進められている。
スペソリマブはこれまでに、急性期GPPの治療薬として、米国、中国、台湾においてブレークスルーセラピーに指定されている。欧州医薬品庁(EMA)は、2021年10月にGPPにおけるスペソリマブの販売承認申請を受領し、現在、審査中だ。
1週目時点の膿疱なし達成割合、プラセボ群6%、スペソリマブ群54%
Effisayil 1(NCT03782792)試験は、12週間にわたり、急性期GPP患者(N=53)をスペソリマブ900mgの静脈内投与群またはプラセボ群のどちらかに2:1の比率で無作為に割り付けて評価した第2相臨床試験。主要評価項目は、1週目の時点でGPP Physician Global Assessment(GPPGA)膿疱サブスコアが0であること(膿疱が見られないこと)。主な副次的評価項目は、1週目の時点でGPPGAスコアが0または1であること(皮膚症状が消失またはほぼ消失)だった。
1週目の時点で、膿疱なし(GPPGA膿疱サブスコアが0)を達成した患者の割合は、プラセボ群の6%に対し、スペソリマブ群で54%。さらに、1週間後に皮膚症状が消失またはほぼ消失(GPPGA合計スコアが0または1)を達成した患者の割合は、プラセボ群の11%に対し、スペソリマブ群で43%だった。
1週間後に有害事象を報告した患者の割合は、スペソリマブ群66%、プラセボ群56%。感染症を報告した患者の割合は、スペソリマブ群17%、プラセボ群6%(1週目)。重篤な有害事象は、スペソリマブ群の6%で報告されたとしている(1週目)。
12週間試験期間終了後、84.4%で膿疱が消失、81.3%で皮膚症状が消失またはほぼ消失
AADで発表されたデータによると、この効果は12週間以上持続し、12週間の試験期間終了後、84.4%の患者で膿疱が消失。81.3%の患者で皮膚症状が消失またはほぼ消失したことが明らかになった。
スペソリマブ投与後に観察された迅速な皮膚症状の消失は、年齢、性別、人種、IL-36遺伝子突然変異の有無などのサブグループ間で概ね一致。スペソリマブ投与後の痛み、疲労感、QOL、皮膚症状に関する患者報告アウトカムにおいて1週間で臨床的に有意な改善が認められたとしている。
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・日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース